多面的機能支払交付金の交付額はどう決まる?「単価」「面積」「加算」の仕組みを解説

多面的機能支払交付金の交付額はどう決まる?「単価」「面積」「加算」の仕組みを解説

こんにちは!ごとう行政書士事務所の後藤です!

農家さんや地域の団体の皆さんから、多面的機能支払交付金についてご相談いただくとき、一番お話に上がるのは以下のようのご質問です。

実際、うちの地域はどのくらいの金額がもらえるの?

どの活動をすれば、いくらになるのか分かりにくい…

交付金の額は、「どれだけの面積を対象にして、どんな活動を行うか」で決まります。さらに、活動の種類や取り組みの姿勢に応じて「加算措置」が上乗せされる場合もあります。

しかし、正確に理解しておかないと「思っていたより少なかった」「準備不足で加算対象にならなかった」といったことも起こりえます。今回は、皆様にも分かりやすいように、「交付額がどう決まるか?」の基本的な仕組みを丁寧に解説していきます。

また、「行政書士に相談すると、どんなサポートが受けられるの?」といった実務面にも触れていきますので、申請前の方はもちろん、すでに制度を活用している方にも、役立つ内容になっています!

\多面的機能支払交付金について、ぜひご相談ください!/

福岡県の農林事務所等主催で、2025年7月に「行政書士事務委託説明会」が開催されるようです!
私も、飯塚市・久山町・糸島市の会場に参加いたします!別の会場については日程の都合上参加できませんが、福岡県全域で対応しておりますので、ぜひ皆様お気軽にご相談ください!

目次

交付金は「面積×単価」で決まるのが基本

交付金の基本的な計算は、非常にシンプルです。

交付額=活動対象面積(10アール単位)× 支払単価

たとえば、田んぼが1ヘクタール(=10a×10=100a)あるとすれば、
10aあたりの単価が3,000円なら、1ヘクタールで3万円が交付される計算になります。

地目によって単価が違います

まず注意しておきたいのは、対象となる農地の種類(=地目)によって、交付単価が異なることです。
代表的な区分は次の3つです。

  • (水田)
  • (普通畑・樹園地を含む)
  • 草地(放牧地など)

たとえば「農地維持支払」の基本単価では、都府県の場合以下の通りとなっています。

  • 田:3,000円/10a
  • 畑:2,000円/10a
  • 草地:250円/10a (令和7年度の交付額)

北海道については、別途地域事情を考慮した単価設定となっており、都府県よりも若干低く設定されています。では実際にそれぞれの具体的単価を見ていきましょう!

多面的機能支払交付金の交付単価について

農林水産省「多面的機能支払交付金のあらまし(令和6年)」に基づき、都道府県における交付単価を表にまとめてご紹介します(10aあたりの額、令和7年度時点)。

地目活動区分都府県北海道
①農地維持支払3,0002,300
②資源向上支払(共同)2,4001,920
③資源向上支払(長寿命化)4,4003,400
①農地維持+②資源向上(共同)5,4004,220
①+②+③(すべてに取り組む)9,2007,140
①農地維持支払2,0001,000
②資源向上支払(共同)1,440480
③資源向上支払(長寿命化)2,000600
①農地維持+②資源向上(共同)3,4401,480
①+②+③5,0801,960
草地①農地維持支払250130
②資源向上支払(共同)240120
③資源向上支払(長寿命化)400400
①農地維持+②資源向上(共同)490250
①+②+③830620
出典:農林水産省「多面的機能支払交付金のあらまし(令和7年)」

・5年間以上実施した地区は、②の単価に0.75を乗じた額が交付単価になります
・②の資源向上支払(共同)は、①の農地維持支払と併せて取り組むことが基本
・②・③の両方に取り組む場合、②の単価に0.75を乗じた額が交付単価
・多面的機能の増進を図る活動に取り組めない地区は、単価に5/6を乗じた額が交付単価になります
・本単価は交付上限額であり、減額調整等の可能性があります

今回記載している「農地維持支払」「資源向上支払(共同)」「資源向上支払(長寿命化)」これらの違いは下記のコラムで解説しています。

加算措置でさらに支援・交付額が増える

交付額は「基本単価×面積」で決まるのが基本ですが、実はそれに上乗せされる「加算措置」があります。条件を満たせば、交付額を増やせる制度で、令和7年度は以下のような加算項目が設けられています。

※いずれも「資源向上支払交付金(共同活動)」に取り組んでいることが前提です。

① 増進加算(多面的機能の更なる増進に向けた活動への支援)

「資源向上支払交付金(共同活動)」の中に、多面的機能の増進を図る活動というものがあり、この活動は以下の分類に分けられ、最低でも一個実施する必要があります。(直ちに実施しない場合、交付単価が5/6に減ってしまいます!)

a:遊休農地の有効活用
地域内外からの営農者の確保、地域住民による活用、企業と連携した特産物の作付等、遊休農地の有効活用のための活動

b:鳥獣被害防止対策及び環境改善活動の強化
鳥獣被害防止のための対策施設の設置や鳥獣緩衝帯の整備・保全管理、農地周りの藪等の伐採、農地への侵入竹等の防止等、農地利用や地域環境の改善のための活動

c:地域住民による直営施工
農業者・地域住民が直接参加した施設の補修や環境保全施設の設置、そのための技術習得等、地域住民が参加した直営施工による活動

d:防災・減災力の強化
水田やため池の雨水貯留機能の活用、危険ため池の管理体制の整備・強化、災害時における応急体制の整備等、地域が一体となった防災・減災力の強化活動

e:農村環境保全活動の幅広い展開
農地等の環境資源としての役割を活かした、景観の形成、生態系の保全・再生等、農村環境の良好な保全に向けた幅広い活動

f:やすらぎ・福祉及び教育機能の活用
地域の医療・福祉施設等との連携を強化する活動や、地域内外の法人、専門家等と連携した、地域資源の有するやすらぎや教育の場としての機能増進を図る活動

g:農村文化の伝承を通じた農村コミュニティの強化
農村特有の景観や文化を形成してきた伝統的な農業技術、農業に由来する行事の継承等、文化の伝承を通じた農村コミュニティの強化に資する活動

h:広域活動組織における活動支援班による活動の実施【R7拡充】
活動支援班が行う支援活動、活動内容の調整、事務の補助等の広域的な支援に関する活動

i:水管理を通じた環境負荷低減活動の強化
長期中干し、冬季湛水、夏季湛水、中干し期間の延期、江の設置等の活動

j:a~jのほか、都道府県が実施要項に基づく基本方針において対象活動とすることにした活動

k:広報活動(a~jの活動とあわせて毎年度実施)
※ただし中山間地域等に含まれる場合は任意

さらに多面的機能の増進に向けた取り組みをしたら加算されます

次のいずれかを満たした場合、資源向上支払(共同)に上乗せされます:

  • 既存の活動組織が、新たに活動項目を1項目以上追加する
  • 新規の活動組織が、2項目以上の活動項目を選択して取り組む
地目都府県の加算額(円/10a)北海道の加算額(円/10a)
400円320円
240円80円
草地40円20円

たとえば、これまで「遊休農地の有効活用」を行っていた地域が、新たに「生態系の保全」」などの項目を追加した場合などが対象です。

② 田んぼダム加算(水田の雨水貯留機能の強化を推進する活動への支援)

大雨の際の下流域の湛水被害リスクを低減させることを目的に、田んぼダムに一定の要件を満たして取り組む場合、「資源向上支払(共同)」に単価の加算が行われます!

以下すべてを満たす場合、交付対象の田の面積に対して加算されます

  • 「田んぼダム」(排水調整板等による湛水機能)を導入している
  • 交付対象の田の5割以上で、実施している
  • 応域活動組織である場合、各集落単位での5割以上の実施が求められる
地目都府県の加算額(円/10a)北海道の加算額(円/10a)
400円320円

③ 活動支援班加算(組織の体制強化への支援)※令和7年度スタート

対象になる条件

  • 新たに広域活動組織が結成され、かつ「活動支援班」を設置した場合
  • 該当する組織に対して、設置年度に限り定額40万円を加算

※すでに活動支援班が設置されている組織や、前年以前に受け取っている組織は対象外です。

活動支援班とは?

担い手不足の地区を広域的に支えるためのチーム(複数集落を横断して活動)のことです。活動困難な集落を広域で支えていく取り組みを行う地域に対して、加算されます。

④ みどり加算(環境負荷低減の取組への支援)※令和7年度スタート

対象になる条件

  • 化学肥料・農薬を地域慣行比で5割以上削減している
  • 指定の環境取組(例:冬期湛水、中干し延長、長期中干しなど)を行っている
  • 2年目以降は、前年度に比べて取組面積が減っていないこと。終了年度については初年度の取り組み面積を上回っていること

加算額の例(取組内容ごとに異なる)

取組内容加算額(円/10a)
長期中干し800円
冬季湛水4,000円
夏季湛水8,000円
中干し延期3,000円
江の設置等(作溝実施)4,000円
江の設置等(作溝未実施)3,000円

※上記のうち複数取り組みを実施した場合であっても、受けられる加算は上記のうち1つの取組分のみです
※取り組みを実施した面積のみが加算対象となります。

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減額や交付制限に注意!こういう場合は金額が下がることも

多面的機能支払交付金は、正しく取り組んでいれば安心して活用できる制度ですが、一部の条件を満たさなかった場合には「減額」や「返還」を求められるケースがあります。

① 活動が5年を超えると単価が0.75倍になる

「資源向上支払(共同)」を、5年以上継続している地区については、単価に0.75を乗じた額が適用されます(交付額が25%減となるイメージです)。

これは「長期的に支援してきた地域に対し、一定の自立性を求める」制度設計となっています。

【具体例】
・都府県(田)の資源向上支払:2,400円 → 1,800円/10a
・都府県(畑)の資源向上支払:1,440円 → 1,080円/10a

② 「資源向上支払(施設の長寿命化)」で「直営施工」を行わないと5/6に減額される

「資源向上支払(施設の長寿命化)」に取り組む場合、地域住民による直営施工を実施しないと、交付単価は5/6(約83.3%)に減額されます。これは、業者任せではなく、地域主体で維持管理を行うことを促すための仕組みです。

【具体例】
・田の長寿命化交付単価(都府県):4,400円 → 約3,666円/10a

③ 多面的機能の増進活動を行わないと「資源向上支払(共同)」が5/6に減額される

多面的機能の増進を図る活動(a〜kの項目)に取り組んでいない場合も、資源向上支払(共同)の単価が5/6に減額されます。「活動項目を1つでも追加する」などの工夫でこの減額を防げるため、制度をよく理解したうえで計画に組み込むことが重要です。

④ 面積の減少や計画誤りで「交付金返還」になることも

活動計画に誤りがある、交付対象面積が減少した、施設の維持管理がされていない、こうしたケースでは、市町村から「交付金の返還」を求められることがあります

返還が求められる主なケース:

  • 活動面積や内容に誤りがあった(過大交付)
  • 実際には活動していなかった
  • 水路や農道など、事業計画にある施設を適切に管理していなかった
  • 活動要件(直営施工や広報活動など)を満たさなかった

こうした返還は、「該当年度に遡って(原則事業計画年度の5年間)全額」を求められることもあります。

甚大な自然災害が発生したときなど、特別な事情の際は特例措置適用の実績報告表を用いて事後報告することにより、交付金の返還を免除されることがあります。

正確な計算と書類づくりを行うことで、安心して交付金をもらえます

交付の仕組みを理解しておくことは、多面的機能支払交付金を活用するうえでとても大切です。活動の内容や対象面積によって、金額は大きく変わりますし、加算の活用次第で交付額を増やすこともできます。一方で、取り組み方によっては減額されたり、返還を求められたりするリスクもあるため、「どこまでやるのか」「どう申請するのか」を最初にしっかり整理しておくことが重要です。

ですが、「制度が複雑でよくわからない」「申請のたびに計算や確認が不安」と感じている方も多いと思います。そこで、私たち行政書士が、そのお手伝いをさせていただいています。

ごとう行政書士事務所では、こんなサポートが可能です

  • 対象地目・活動内容に応じた交付額の試算
  • 単価や加算条件の整理と活動内容の整理
  • 活動計画書・申請書類の作成支援とチェック
  • 減額・返還リスクを避けるための記録指導

多面的機能支払交付金は、地域の農地や暮らしを守るための力強い制度です。ぜひこの制度を、無理なく・正しく・効果的に活用していただければと思います。ご不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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