
うちのトラック、特車申請が必要ですか?



車検証の総重量が20t以下なら問題ないんですよね?
特車申請に関して、こういったご相談をいただくことが増えています。その答えは、車両制限令第3条が定める「一般的制限値」を1つでも超えているかどうかで基本は決まります。
本記事では、8つの一般的制限値を数値・図解つきで整理し、指定道路による特例、特例8車種の緩和値まで一気にまとめました。後半にはセルフチェックも用意しています。「申請が必要かどうか今すぐ確認したい」方は、まずセクション4に飛んでください。
福岡・熊本・大分を中心に特車申請を専門に扱う行政書士の後藤遼太が、現場感覚でお伝えします。
一般的制限値とは
一般的制限値とは、道路法第47条第1項・車両制限令第3条に基づく「道路を通行できる車両の大きさ・重さの上限値」のことです。道路は一定の構造基準で造られており、この上限を超える車両は原則として通行が禁止されています。1項目でも超えると特車申請(特殊車両通行許可申請)または通行確認制度の手続きが必要になります。
ここで「車両」とは、人が乗車し、または貨物が積載されている状態のものを指します(車両制限令第2条)。空車では制限内でも、荷物を積んだ瞬間に制限値を超えるケースが現場では日常茶飯事です。また、他の車両をけん引している場合は、けん引されている車両を含めた連結状態で判定します。
8つの一般的制限値の早見表
車両制限令第3条が定める8つの項目を、特車ハンドブック2025年4月版から正確な数値で整理しました。
| 項目 | 一般道の制限値(最高限度) | 備考・特例 |
|---|---|---|
| 幅 | 2.5m | 特例なし |
| 長さ | 12.0m | 高速国道:セミトレーラ16.5m、フルトレーラ18.0m |
| 高さ | 3.8m | 高さ指定道路では4.1m |
| 最小回転半径 | 12.0m | 車両最外側のわだちで計測 |
| 総重量 | 20.0t | 高速国道・重さ指定道路では最大25.0t |
| 軸重 | 10.0t | ー |
| 隣接軸重 | 軸距により18〜20t(下表参照) | 3段階設定 |
| 輪荷重 | 5.0t | ー |
隣接軸重の3段階
隣接軸重(隣り合う2本の車軸にかかる重さの合計)は、軸距によって上限が変わります。
| 隣り合う車軸の軸距 | 隣接軸重の上限 |
|---|---|
| 1.8m未満 | 18.0t |
| 1.3m以上かつ隣り合う車軸の軸重がいずれも9.5t以下 | 19.0t |
| 1.8m以上 | 20.0t |
指定道路による特例|高さ・重さの上限が変わる
一般的制限値はあくまで「原則」であり、道路管理者が指定した道路ではより高い上限が認められます。
重さ指定道路(総重量の上限が最大25t)
道路管理者が道路構造上の安全性を確認し指定した道路です。車両の最遠軸距と長さに応じて、総重量の上限が変わります。
| 最遠軸距(前後最遠軸間距離) | 条件 | 総重量の上限 |
|---|---|---|
| 5.5m未満 | ー | 20.0t |
| 5.5m以上7m未満 | 長さ9m以上 | 22.0t(長さ9m未満は20t) |
| 7m以上 | 長さ11m以上 | 25.0t(長さ9m未満は20t、9〜11mは22t) |
高さ指定道路(高さの上限が4.1m)
道路管理者が指定した道路では、高さの上限が3.8m→4.1mに引き上げられます。国際海上コンテナ(40ft背高)の通行が想定された制度であり、港湾アクセス道路などに多く設定されています。
重さ指定道路・高さ指定道路の指定状況は、国交省の特車PRサイトで確認できます。経路設定の前にマップを確認するだけで、不必要な申請を避けられるケースがあります。
高速自動車国道における長さの特例
| 車種 | 高速国道での長さ上限 |
|---|---|
| セミトレーラ連結車 | 16.5m |
| フルトレーラ連結車 | 18.0m |
特例8車種でさらに緩和される値
特例5車種(バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用のセミトレーラ)と追加3車種(あおり型・スタンション型・船底型)を合わせた特例8車種は、申請または確認制度の回答が得られる基準(通行可能限度値)がさらに緩和されています。
| 項目 | 特例8車種の通行可能限度値 |
|---|---|
| 長さ | セミトレーラ:原則17.0m 後軸旋回中心〜車両後端が3.2m以上3.8m未満は17.5m、 3.8m以上4.2m未満は18.0m。 連結装置が後後軸より後ろにある場合・フルトレーラは21.0m |
| 総重量 | 44.0t |
| 軸重 | 原則10.0t(バン型等セミトレーラにおける2軸認証トラクタの駆動軸は11.5t) |
ポイントは、特例8車種でも幅2.5m・高さ3.8mなどの一般的制限値は引き続き適用される点です。総重量と長さが大きく緩和されるのが最大のメリットです。
あなたの車両は超えている?|セルフチェックフロー
車検証に記載された「長さ・幅・高さ・車両総重量・最大積載量」を書き出します。
積荷の寸法(前後・左右のはみ出しがあればそれも含める)と重量を加算し、「積載状態での寸法・重量」を算出します。
本記事の早見表と照合。1項目でも超えていれば次のSTEPへ。
重さ指定道路のみなら総重量上限が最大25tに、高さ指定道路のみなら高さ上限が4.1mになります。それでも超えるなら特車申請または確認制度の手続きが必要です。
セミトレーラを使用している場合、特例8車種に該当すれば総重量44tまで申請で許可が取れる可能性があります。



細かい条件も多くありますので、迷ったらお気軽にご相談ください。
道路法・道路交通法・道路運送車両法の制限値の違い
「制限値」には法律ごとに異なるルールがあり、混同されがちです。
| 法律 | 目的 | 高さ制限 | 重量の主な制限 |
|---|---|---|---|
| 道路法(車両制限令) | 道路構造の保全・交通危険防止 | 積載状態で3.8m(高さ指定道路4.1m) | 軸重10t、総重量20t(指定道路は最大25t) |
| 道路交通法 | 交通秩序・安全 | 積載状態で3.8m(積載物の前後はみ出しは車体×1.2倍以内) | 軸重10t |
| 道路運送車両法(保安基準) | 車両構造・安全性 | 積載物に関わらず3.8m | 規定なし(車検で確認) |
特車申請が必要かどうかの判断基準は道路法(車両制限令)です。問合せ先も異なり、道路交通法は警察署、道路運送車両法は運輸支局となっています。
よくある質問(FAQ)
- 幅2.5mとは、荷物を含めた状態ですか?
-
はい、荷物が積まれた状態での幅で判定します。荷物が左右にはみ出している場合は、はみ出し部分を含めた全体幅が2.5mの制限対象になります。
- 高さ3.8mを少しでも超えたら即申請が必要ですか?
-
原則はそのとおりです。ただし、走行する道路が「高さ指定道路」(上限4.1m)に指定されていれば、4.1m以下なら申請不要です。事前に指定道路マップで確認することをお勧めします。
- 軸重と隣接軸重の違いがわかりません。
-
「軸重」は1本の車軸にかかる重さ(上限10t)。「隣接軸重」は隣り合う2本の車軸の合計重さ(軸距によって18〜20t)です。高積載のセミトレーラでは隣接軸重が制限に引っかかるケースが多く、実務上よく確認が必要になる項目です。
- 特例8車種の総重量44tは、どんな道路でも走れますか?
-
いいえ。44tは許可が得られる上限値であり、申請と審査が必要です。橋梁の構造や路面強度によっては通行条件(C・D条件)が付いたり、不許可になる経路もあります。
まとめ|制限値を把握することが適正通行の第一歩
- 幅2.5m・長さ12m・高さ3.8m・最小回転半径12m・総重量20t・軸重10t・隣接軸重(3段階)・輪荷重5tの8項目が基本。
- 高さ指定道路・重さ指定道路では一部の制限値が緩和される。
- 特例8車種に該当するセミトレーラは、申請で総重量44t・長さ最大21m(フルトレーラ)まで通行可能。
- 判断に迷ったら、車検証と積荷情報を手元に用意してごとう行政書士事務所へご相談ください。
「一般的制限値について詳しく確認したい」「自社の車両が申請対象かどうか判断できない」という方は、お気軽にごとう行政書士事務所までご連絡ください。
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