令和8年(2026年)7月28日に発生した熊本地震により、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
私は熊本市の出身です。10年前の平成28年熊本地震のときにも家族が被災し、あのときの日々のことは今も覚えています。まずは救助と復旧が何よりも優先されるべき状況であると思っています。
そのうえで、道路の通行止めが続くなかで、運送業・建設業のお客様から「許可を取った経路が通れなくなったが、どうすればよいか」というご相談をいただいております。特殊車両通行許可申請は経路ごとに交付されるものであり、通行止めによって手続き上の対応が必要になる場合があります。
同じ状況で判断に迷っておられる事業者の方の参考になればと思い、確認できる情報を整理いたしました。
通行止めの状況(2026年8月6日時点)
NEXCO西日本の発表によれば、通行止めの状況は次のとおりです。
| 路線・区間 | 通行止めの状況 | 一般車両の通行再開見込み |
|---|---|---|
| E3 九州自動車道 松橋IC〜えびのIC | 7月28日16時27分〜 継続中 | 8月後半 |
| E3A 南九州自動車道(八代日奈久道路)八代JCT〜田浦IC | 7月28日16時27分〜 継続中 | うち八代南IC〜田浦IC間は8月後半 |
| E3 九州自動車道 益城熊本空港IC〜松橋IC | 7月30日9時4分 解除済み | ー |
| E77 九州中央自動車道 嘉島JCT〜益城TB | 7月30日9時4分 解除済み | ー |
また、通行止め区間のうち、次の区間では緊急車両等の通行が可能です。一般車両は通行できません。
| 区間 | 通行できる時期 |
|---|---|
| E3 九州自動車道 松橋IC〜宮原SA | 通行可能 |
| E3 九州自動車道 宮原SA〜坂本PA | 8月9日の週(見込み) |
緊急車両等が通行できる区間では、路面に段差が残っているほか、ひび割れなどの損傷箇所を迂回して通行する必要があるため、一般車両は通行できません。
通行できるのは、緊急自動車(赤色回転灯付きの車両)または災害派遣等従事車両証明書を持参した車両です。ただし給水車両・タンクローリーについては、同証明書を持参していなくても通行できるとされています。また宮原SAでの出入りは、普通車以下または車長7.5m以下の給水車・タンクローリーに限られます。
現在も、熊本以南については高速道路がつながっていない状態が続いています。
NEXCO西日本が7月31日に公表した資料によると、川田橋・片野川橋・妙見第一橋の3橋で、路面の段差や桁のずれ、桁端部の座屈などの損傷が確認されています。当初は復旧に数か月を要するとの見方も報じられていましたが、その後の復旧作業を経て、8月4日には松橋IC〜えびのIC間について、8月後半に一般車両の通行が可能となる見込みが示されました。ただしNEXCO西日本は、現地の状況に応じて一般車の通行が制限される可能性があるとしています。
一般道については、国道3号・国道57号の全面通行止めが7月29日までに解除されています。ただし国道218号・219号などでは橋梁の損傷等による規制が続いており、全区間が平常どおり通行できる状態ではありません。
なおNEXCO西日本は、緊急車両や緊急物資輸送の通行を確保するため、不要不急の高速道路の利用を控えるよう呼びかけています。
東九州自動車道への広域迂回が要請されています
国土交通省九州地方整備局とNEXCO西日本は、九州の南北を行き来する交通について、E10 東九州自動車道を経由した広域迂回を要請しています。福岡方面から宮崎IC・鹿児島IC方面へ向かう場合、九州自動車道で南下せず、九州の東側を回るルートです。被災地周辺の一般道に交通が集中することを避ける目的があります。
国土交通省が7月31日に公表したデータでは、東九州自動車道の門川南スマートIC〜日向IC間で大型車の交通量が約5倍に増加しており、被災地周辺への交通の流入抑制に寄与しているとされています。
一方で国土交通省は、慣れないルートでの長時間の走行となることから、安全運転を心がけるよう呼びかけています。所要時間の増加にともない、乗務員の拘束時間や休憩地点の確保についても、あらかじめ確認しておく必要があります。
特殊車両通行許可は経路ごとに交付されます
ここからは、特殊車両通行許可をお持ちの事業者の方に関わる内容です。
特殊車両通行許可の根拠となる道路法には、次のように定められています。
道路管理者は、(中略)通行経路、通行時間等について、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要な条件を付して、限度超過車両の通行を許可することができる。
道路法 第47条の2第1項
条文にあるとおり、許可は申請した通行経路について交付されます。したがって、九州自動車道 松橋IC〜えびのIC間を含む経路で許可を受けている場合、お手元の許可証は東九州自動車道を経由する迂回ルートを対象としていません。迂回して通行する場合には、その経路について改めて手続きが必要になります。
通行止めによるやむを得ない迂回であっても、許可の範囲外を通行すれば道路法上の問題が生じます。まずはお手元の許可証を確認し、通行経路に通行止め区間が含まれていないかをご確認ください。
災害復旧・支援物資輸送に係る申請の迅速化について
国土交通省は令和8年7月29日、被災地域の早期復旧や物流確保の観点から、災害復旧工事に必要な機材の運搬や支援物資の輸送等に係る特殊車両通行許可申請について、最優先で処理し、可能な限り迅速に許可証を交付すると発表しました。
あわせて、次の点が示されています。
① 申請の受付窓口について
九州地方整備局 熊本河川国道事務所は、災害対応のため申請書の受付を見合わせています。周辺では福岡国道事務所・鹿児島国道事務所が受付を行っています。
② 災害救助のために使用される車両について
災害救助のために使用される車両に係る特殊車両通行許可の手続きは不要とされています。
③ 経路の選定について
支援物資等の輸送に係る申請にあたっては、道路情報便覧に未収録の道路や個別協議箇所を経路に選択しないなど、個別審査が生じないよう協力が求められています。個別審査が発生すると、その分だけ許可までに時間を要するためです。
まとめ
- 九州自動車道 松橋IC〜えびのIC間、南九州自動車道 八代JCT〜田浦IC間の通行止めが続いています(2026年8月6日時点)
- 一般車両の通行は、松橋IC〜えびのIC間および八代南IC〜田浦IC間で、8月後半に再開される見込みです
- 緊急車両等については、8月9日の週に宮原SA〜坂本PA間が通行可能となる見込みです
- 九州の南北の移動については、東九州自動車道を経由した広域迂回が要請されています
- 特殊車両通行許可は経路ごとに交付されるため、許可経路が通行止めの場合、迂回路はその許可証の対象外となります
- 災害復旧・支援物資輸送に係る特殊車両通行許可申請は最優先で処理されています。受付窓口は熊本河川国道事務所以外となります
道路の状況は日々変わります。運行の前には、NEXCO西日本の「アイハイウェイ」や日本道路交通情報センター(JARTIC)で最新の情報をご確認ください。
よくあるご質問(Q&A)
- 通行止めで迂回する場合、手元の許可証はそのまま使えますか?
-
使えません。特殊車両通行許可は申請した経路について交付されるものです(道路法第47条の2第1項)。迂回後の経路について、改めて手続きが必要になります。
- 申請はいつもの熊本河川国道事務所に提出すればよいですか?
-
熊本河川国道事務所は災害対応のため受付を見合わせています。福岡国道事務所・鹿児島国道事務所など、他の事務所での受付となります。
現地では今も復旧作業が続いています。まずは救助と復旧が優先される状況ですが、そのなかで事業を続けるために手続きの判断が必要になる方もいらっしゃるかと思います。ご遠慮なくいつでも当事務所までご相談ください。
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