古物商許可の営業所と管理者の要件|自宅・賃貸・バーチャルオフィスの注意点

副業で物販を始めるので自宅を営業所にしたいのですが、賃貸マンションでも問題ないでしょうか?

申請書の『管理者』欄をどう書けばいいかわかりません。私一人で事業をやるのですが、自分自身を管理者にできるのでしょうか?

こんにちは、ごとう行政書士事務所の後藤です。

前回(Vol.2)では13品目の選び方を扱いました。今回は申請書を書く前に必ずクリアしておくべき場所と人の要件です。特に、自宅を営業所にする副業層からのご相談が増えており、賃貸物件・分譲マンション・バーチャルオフィスなど、ケースごとに注意点が異なります。

福岡・熊本・大分を中心に許認可申請のサポートを行っている行政書士として、実務でよくある落とし穴を中心にお話しします。ぜひ最後までお付き合いください。

目次

古物商許可における「営業所」とは?

営業所とは、古物の取引(買取・販売・交換)、保管、帳簿の管理などを行う拠点のことです。許可は営業所ごとに付与されるため、複数拠点で営業する場合は、それぞれ営業所として届け出る必要があります。

営業所が果たす機能は主に次の3つです。

  • 取引の場(来店・出張・オンラインでの取引拠点)
  • 古物の保管場所(在庫の管理)
  • 帳簿(古物台帳)の備付場所

営業所として認められる要件

営業所として認められるには、主に次の3つを満たす必要があります。

① 独立した区画があること

古物の取引・保管が他の業務と区別されている必要があります。独立した部屋またはパーティション等で区切られた専用スペースが望ましいとされます。

② 使用権原があること

その場所を「自分が事業に使ってよい」と法的に主張できる根拠が必要です。具体的には、

  • 自己所有(不動産登記事項証明書・固定資産税納付書等)
  • 賃貸借契約(賃貸借契約書のコピー)
  • 親族所有の物件(使用承諾書等)

③ 一定の継続性があること

短期的に借りているスペースや、頻繁に場所が変わるような形態は営業所として認められにくいです。少なくとも数年単位で安定して使用できる場所であることが必要です。

自宅を営業所にする場合の注意点

副業や個人事業の場合、自宅を営業所にしたいという方が大半です。物件の種類別に注意点を整理します。

県によっては事務所の権限について申請時に聞かれることがあります。
そのために、いくつかのケースを見ておきましょう。ここまで準備せずとも申請が進められるケースもあります。

【ケース①】持ち家(戸建て・分譲マンション)の場合

  • 戸建て:基本的に問題なし。県・警察署によって権限の疎明が必要な際は、登記事項証明書または固定資産税納付書のコピーを使用権原の証明として提出対応するとよいのではないでしょうか。
  • 分譲マンション:管理規約で「居住用以外の使用」が禁止されていないか要確認。事業用としての使用が制限されている場合は、管理組合の承諾が必要なケースも

【ケース②】賃貸物件(アパート・賃貸マンション)の場合

賃貸物件で自宅を営業所にする場合、大家(または管理会社)の使用承諾書が求められるケースがまれにあります。

  • 賃貸借契約書に「居住用に限る」「事業使用禁止」などの条項があると、そのままでは営業所として認められない
  • 大家・管理会社に「古物商の営業所として使用してよい」旨の使用承諾書を発行してもらう必要があるケースも
  • 管轄警察署によって運用が異なるため、事前相談で確認することを推奨
行政書士 後藤

賃貸物件で「大家に話しづらい」「断られたらどうしよう」という方は多いのですが、実務上は「自宅で副業として小規模に物販をする旨」を丁寧に説明すれば、承諾いただけるケースは多くあります。

【ケース③】親族所有の物件を借りる場合

実家など親族所有の物件を営業所にする場合は、親族からの使用承諾書と、所有者の登記事項証明書(または固定資産税納付書のコピー)があると万全です。

バーチャルオフィスは原則NG

「副業だから手軽にバーチャルオフィスを使いたい」というご相談もよくいただきますが、バーチャルオフィスや住所貸しサービスは古物商の営業所として認められないのが原則です。

理由は、古物商に求められる「古物の保管・帳簿の備付・取引の管理ができる物理的な拠点」を満たさないためです。

  • バーチャルオフィス:原則NG(住所だけ貸す形態のため)
  • 住所貸しサービス:原則NG
  • レンタルオフィス(個室契約):契約形態や実態によっては認められるケースあり。
  • コワーキングスペース:固定席契約でも難しい場合が多い。独立性の確保が重要。

「管理者」とは?役割と要件

古物営業法第13条では、営業所ごとに管理者を1名選任することが義務付けられています

古物商又は古物市場主は、営業所又は古物市場ごとに、当該営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければならない。
(古物営業法 第13条第1項)

管理者の役割

  • 営業所における業務の統括管理
  • 従業員の指揮監督
  • 帳簿への記載の管理
  • その他古物営業関係法令の遵守

管理者になれない人(欠格事由)

  • 未成年者
  • 5年以内に禁錮以上の刑、特定犯罪歴のある者
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなって5年を経過していない者
  • 住居が定まっていない者

取り扱う品目によっては「業務に必要な知識経験」が求められる

特に自動車・バイクなど偽造品リスクが高い品目については、管理者に一定の知識経験が求められます。たとえば中古車販売の管理者であれば、自動車整備士資格や自動車販売店での実務経験などが望ましいとされます。

申請者本人が管理者を兼ねる場合

個人事業主やひとり社長の場合、申請者本人が管理者を兼任するのが一般的です。

  • 個人申請:申請者=管理者で問題なし
  • 法人申請:代表者または役員が管理者になるケースが多い
  • 従業員を管理者にする場合:その人物の住民票・身分証明書・略歴書・誓約書も提出
行政書士 後藤

営業所が複数ある場合、1人の管理者が複数の営業所を兼任することは原則できません。各営業所に1名ずつ別々の管理者を選任する必要があります。事業を拡大して2店舗目を出す場合は、管理者として任せられる人材の確保が必須です。(近接している営業所の場合例外などもありますのでご相談ください。)

まとめ:場所と人の要件は申請前にクリアする

  • 営業所には独立性・使用権原・継続性が必要
  • 賃貸物件で自宅を営業所にする場合は大家の承諾を得ておく
  • バーチャルオフィスは原則NG。レンタルオフィスは契約形態・独立性次第
  • 各営業所に管理者を1名選任。複数営業所の兼任は原則不可(例外あり)
  • 個人事業主は申請者本人が管理者を兼任するのが一般的

次回は、申請に必要な書類とその書き方について、つまずきやすいポイントを実務目線で解説します。

「自宅を営業所にできるか確認したい」「賃貸物件の使用承諾書をどう用意すればいいか相談したい」という方は、お気軽にごとう行政書士事務所までご連絡ください。福岡エリアは直接訪問でのご相談も対応しています。全国どこでもオンライン面談OK土日祝も対応可能です。

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