
特車申請で書類が足りないと差戻しになると聞きました。何を揃えればいいですか?



更新申請のとき、書類を全部揃え直す必要がありますか?
特車申請で最も多い差戻し原因のひとつが「書類の不足・不備」です。国土交通省関係資料「よくある申請書の不備の事例」でも、ケース①として「車検証・電子媒体などの付属書類が添付されていない」例が挙げられています。書類の揃え方でつまずく申請者が多い実情があります。
本記事では、特車申請(オンライン申請・窓口申請それぞれ)に必要な書類を申請区分別に整理し、「ここが落とし穴」というポイントを実務目線でコメントしています。「どの書類が必要か確認したい」という方はチェックリストとしてそのままご活用ください。
福岡・熊本・大分を中心に特車申請を専門に扱う行政書士の後藤遼太が、現場感覚でお伝えします。
必要書類の根拠は、道路法第47条の2第1項と、車両の通行の許可の手続等を定める省令第9条にあります。この記事では、条文上の必要書類と、オンライン申請で実務上求められる資料を分けて整理します。
同条では、車検証の写し、車両の諸元に関する説明書、車両内訳書(2台以上の場合)、通行経路図・通行経路表、その他道路管理者が必要と認めるものが挙げられています。一方で、更新・変更申請や、道路管理者が別の方法で内容を確認できる場合には、添付省略が認められることもあります。
特車申請の書類は「基本書類+追加書類」
特殊車両通行許可申請に必要な書類は、大きく2つのグループに分かれます。基本書類(すべての申請で必要)と、追加書類(申請内容・車両・経路の状況によって必要になる)です。オンライン申請と窓口申請では、書類の電子化方法や添付省略の可否が異なりますので、それぞれ整理します。
基本書類|すべての申請で必要な6種類
以下は、車両の通行の許可の手続等を定める省令第9条(昭和36年建設省令第28号)に基づく必須書類です。
1. 特殊車両通行許可(認定)申請書【省令別記様式第1】
申請書本体です。申請者情報・通行期間・積載貨物・申請区分(新規/変更/更新)などを記載します。オンライン申請ではシステム内で自動生成されるため別途作成は不要。窓口申請では所定の様式に記入して提出します。
2. 車両の諸元に関する説明書【課長通達別記様式第1・第1の2】
車両の寸法・重量・軸距・最小回転半径などを記載する書類です。トラクタ・トレーラが連結する場合は連結状態の諸元が必要です。
- 入力単位はcm・t:車検証の「mm」表記をそのままcm欄に入力するミスが頻発します。必ず単位変換をしてから入力してください。
- カプラ前長さ≠全長:トラクタの「全長」と「カプラ前長さ(車両最前部から第五輪中心までの距離)」は別物です。全長をカプラ前長さ欄に入力すると差戻しの主因になります。外観図から読み取って計算が必要になります。
- ダブルタイヤは1輪扱い:ダブルタイヤは「2輪」ではなく「1輪」として輪数を計算します。
3. 通行経路表【課長通達別記様式第2】
出発地から目的地までの通行経路を、路線名などとともに一覧にした表です。オンライン申請ではシステム内で自動作成されます。未収録路線が含まれる場合は、路線名を手動入力する必要があります。路線名が誤っていたり不明確だと協議先道路管理者が特定できず、審査が大幅に遅れます。
4. 通行経路図
通行経路を地図上に示した図です。オンライン申請ではデジタル地図経路作成機能で自動生成されます。未収録路線がある場合はシステムで表示できない区間を手書きまたは図示して添付します。
5. 自動車検査証(車検証)の写し
オンライン申請では原則不要です(車検証情報はシステム内で照合)。ただし以下の場合は必要になります。
- 車検切れの車両:「車検切れ=申請不可」ではありませんが、オンライン申請でも車検証の写しの添付が必要です。
- 道路管理者から求めがあった場合
- 窓口申請:1部提出が必要
6. 車両内訳書【要領別記様式1】
包括申請(2台以上の申請)の場合のみ必要です。申請する全車両のナンバー・型式・諸元を一覧にしたものです。
追加書類|状況によって必要になる書類
以下の書類は、車両や経路の状況によって必要になります。事前に確認しておかないと、審査の途中で「追加提出してください」と連絡が来て時間を無駄にすることになります。
付近図(未収録路線が含まれる場合)
未収録路線が経路に含まれる場合、出発地・目的地・通行経路の位置がわかる地図の添付が必要です。必ず記載すべき情報は以下の2点です。
- 路線名:記載がないと、協議先の道路管理者が特定できず審査が止まります。
- 10桁の交差点番号:交差点番号が抜けていると同様に特定不能になります。手書きでも構いませんので必ず記載してください。



未収録路線を含む申請で「付近図に路線名と交差点番号が書かれていなかった」ことによる差戻しなどのケースを見たことがあります。多少手間でも、付近図の品質にこだわることが、差し戻しを減らし審査期間を最短にする近道だと思っています。
軌跡図
超寸法車両(幅・高さ・長さが一定の基準を超える車両)の申請では、道路管理者から提出を求められることがあります。申請時には必須ではありませんが、審査途中で要求される可能性があります。また最小回転半径が大きい車両が狭い交差点を通る場合も、道路管理者の判断で添付が求められます。
荷姿図(積載物がはみ出す場合)
積荷が車体の前後・左右にはみ出す場合に必要な図です。積載状態の車両全体の外形寸法がわかるよう、はみ出し量を含めて描く必要があります。
申請区分別の書類まとめ
| 書類 | 新規 | 変更 | 更新 | 包括申請 |
|---|---|---|---|---|
| 申請書本体 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 車両諸元説明書 | ○ | ○(変更ある場合) | ○(変更ある場合) | ○ |
| 通行経路表 | ○ | ○(変更ある場合) | ○(変更ある場合) | ○ |
| 通行経路図 | ○ | ○(変更ある場合) | ○(変更ある場合) | ○ |
| 車検証の写し | △(オンラインは原則不要) | △(同左) | △(同左) | △(同左) |
| 車両内訳書 | × | × | × | ○ |
| 付近図 | △(未収録路線がある場合) | △(同左) | △(同左) | △(同左) |
| 軌跡図 | △(求められた場合) | △(同左) | △(同左) | △(同左) |
| 荷姿図 | △(はみ出しがある場合) | △(同左) | △(同左) | △(同左) |
○:必須、△:状況により必要、×:不要
提出前セルフチェックリスト
車両諸元の確認
- 車両の幅・長さ・高さはcm単位で入力しているか(mmをそのまま入れていないか)
- カプラ前長さを全長と混同していないか
- ダブルタイヤを「1輪」として計算しているか
- G値(最外輪中心間距離コード)を外観図から正確に読み取っているか
- その他車両に関する各情報が合っているかどうか
経路の確認
- 出発地から目的地まで経路が連続してつながっているか(途切れ箇所がないか)
- 未収録路線がある場合、付近図に路線名と10桁交差点番号を記載しているか
- 一方通行・進入禁止などを誤って申請経路に含めていないか
- 往復申請の場合、復路の経路も適切に設定しているか
書類の確認
- 車検切れ車両の場合、車検証の写しを添付しているか
- 包括申請の場合、車両内訳書を添付しているか
- 積荷のはみ出しがある場合、荷姿図を用意しているか
- 申請区分(新規・変更・更新)の選択が正しいか
過去に聞いたことがある差戻し原因TOP3
第1位:経路の不連続・通行不可区間の混入
「目的地まで経路がつながっていない」「一方通行区間が含まれている」が最も多いパターンです。申請書を送信する前に「簡易算定機能」で事前チェックすることが公式に推奨されています。通行不可が検出された場合は必ず差戻しになります。
第2位:車両諸元の入力ミス
単位(mm→cm)の取り違え、カプラ前長さと全長の混同、G値の読み間違いなどが頻発します。諸元表の入力前に必ず単位・項目を確認してください。
第3位:未収録路線の付近図不備
路線名・交差点番号の記載漏れにより、協議先が特定できなくなるパターンです。付近図を作成する際は必ず路線名と10桁の交差点番号を記入してください。
よくある質問(FAQ)
- 車検証のコピーは白黒でいいですか?
-
窓口申請の場合は白黒コピーで問題ありません。オンライン申請でスキャン添付が必要な場合も、内容が読み取れれば白黒で問題ありません。
- 外観図はどこで入手できますか?
-
車両メーカー・販売店・架装メーカーに依頼するのが基本です。取り寄せに数日〜1週間かかる場合があるため、申請を急ぐ場合は早めに手配しておくことをお勧めします。
- 包括申請と単車申請で書類は変わりますか?
-
大きな違いは「車両内訳書」の有無です。包括申請では全申請車両を一覧にした車両内訳書が必須になります。また包括申請は「合成車両」で審査されるため、個別申請より通行条件が厳しくなる場合があります。
- 軌跡図は自分で作れますか?
-
最小回転半径の計算に基づいて作図する必要があり、専用のCADソフトや有料のソフトなどが必要です。作図に慣れていない場合は行政書士への依頼を推奨します。当所では一部の軌跡図の作成も代行しています。
- 更新申請では書類を全部揃え直す必要がありますか?
-
同一の申請窓口への更新の場合、変更のない添付書類の提出は省略できます。経路や車両諸元に変更がなければ申請書と諸元説明書の確認・修正程度で済むことが多いです。ただし期限切れになった場合は「新規申請」扱いとなり、書類を全部揃え直す必要があります。
まとめ|書類の揃え方が審査スピードを左右することも
- 車両諸元の入力単位(cm・t)と、カプラ前長さ・G値・ダブルタイヤの正しい取り扱いを必ず確認する。
- 未収録路線がある場合の付近図には路線名・10桁交差点番号を必ず記載する。
- 車検切れ車両のオンライン申請でも車検証写しが必要という例外を見落とさない。
書類準備の段階で判断に迷った場合や、差戻しを避けたい場合は、お気軽にごとう行政書士事務所までご連絡ください。
福岡・熊本・大分エリアは直接訪問でのご相談も対応しています。まずは無料相談から、一緒に整理していきましょう。
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