
AIで文章は作れるようになったけれど、その先の仕事にはどう使えばいいんだろう?



小さな事務所でも、資料の整理や日々の作業に役立つのかな?
こんにちは。ごとう行政書士事務所の後藤です。
2026年6月に、当事務所でのAI活用についての記事を公開しました。おかげさまで反応も良く、ありがたく思っています。


ただ、あの記事の内容は、あくまで2026年6月時点での私の運用です。この数か月でAIの技術は驚くほど進みました。最新のAIを仕事に生かそうとすると、当時とはやり方がすっかり変わってきています。
そこで今回は、この間にどんな変化があったのかをお話ししたうえで、前回の記事の「実践編」として、実際にどんな資料を使い、何を作り、どこを確かめて直しているのかを、具体的な例でご紹介します。
中心にするのは、次の3つの例です。
- 公開資料を集めて、見返せる研修資料にする
- 形式の違う複数の資料を、確認しやすい台帳にまとめる
- 原稿を、資料を足しながら修正して仕上げる
うまくいったことだけでなく、使ってみて直したことも書いています。AIを仕事に取り入れたい行政書士の方や、中小企業の方の参考になればうれしいです。
AIを取り入れた背景や基本の考え方は、前回の記事「AIを事務所へ取り入れた背景と基本方針」をあわせてご覧ください。
この数か月で、AIも私の使い方も大きく変わった
新しいモデルが次々に登場した
今は、ClaudeではFable 5.1やOpus 5.5、Codex(ChatGPT)ではGPT-6 AstraやGPT-6 Solといった、新しいモデルを使えるようになっています。
モデルごとに得意なことがはっきりしてきて、できることもぐっと広がりました。私が使っていて特に強く感じるのは、GPT-6 Astraの画面を読み取る力の高さと、コンピュータユースの強さです。コンピュータユースとは、AIが画面の内容を確認しながら、操作を手伝ってくれる機能のことです。
プランを見直し、使い方も組み直した
あまりにも進化が大きかったので、私自身もAIへの向き合い方を見直しました。利用しているプランは、Claudeは「Pro」プランのままですが、ChatGPTは「Plus」プランから、月額16,800円の「Pro」プランに引き上げました(2026年9月時点)。そのうえで、仕事の中でのAI活用を少しずつ広げているところです。
前回の記事では、Claudeを事務所の中心に置き、ほかのAIに補ってもらう形をご紹介しました。今は、ひとつのAIを中心に決めるというより、Codex、Claude、ChatGPTを、そのときの仕事に合わせて使い分けています。どれが一番かというより、「この作業にはこれが合う」と試しながら選んでいる、というのが今の実感です。
AIが入る場面が、仕事の流れ全体に広がった
6月の時点でも、文章づくりに加えて、ファイルの作業やちょっとしたツールづくりにAIを使っていました。この数か月で大きく変わったのは、AIが入る場面の広さです。質問に答えてもらう、文章を書いてもらうといった単発の使い方に加えて、資料を読む、照らし合わせる、形にする、確かめる、直すという仕事の流れの中に、AIが入るようになりました。
今の仕事の進め方を、おおまかな流れにすると次のようになります。毎回まったく同じ手順というわけではありませんが、だいたいこの形です。
- 私が、目的・使う資料・完成形・触ってよい範囲を伝える
- AIが、資料や過去のやり取り、必要な公開資料を確認する
- AIが、整理・下書き・ファイルづくりを進め、分からない点は分からないまま残す
- 私が中身や使いやすさを見て、直してほしい点を伝える
- 直した結果を、表示や動作も含めて確かめる
- 次も使うルールは、指示書やメモに残す
この流れの出発点と、途中の判断をするのは人です。何のために、どんな形のものが欲しいのかを伝えないと、AIもどこへ向かえばよいか分かりません。このあとの例も、「目的と完成形を伝える」「見て直す」という部分に注目して読んでいただくと、分かりやすいと思います。
公開資料を集めて、見返せる研修資料にする
1つ目は、特殊車両通行許可申請(以下、特車申請の許可)についての研修資料づくりです。
特車申請の許可には、国が出している手引きやマニュアルなど、たくさんの資料があります。どれも大切な資料ですが、量が多く、「この話はどの資料のどこに書いてあったか」を探すだけでも時間がかかります。
そこでAIに、国の公開資料やマニュアルを集めてもらい、次のような形に整理してもらいました。
- 検索して参照できる資料集
- 理解していく順番(学ぶ順序)
- 用語や、申請で入力する項目の整理
- WordとPDFの研修教材(第1版)
ここで意識したのは、制度のあらましを聞いて終わりにしないことです。「何を根拠に、どの順番で理解し、分からなくなったらどこへ戻って確かめるか」まで整えてもらいました。元の資料へ戻れる形になっていれば、読んでいて疑問が出たときにも、自分で確かめることができます。
今の到達点は、教材の第1版ができたところです。すべての地域や画面、例外に対応した完成版ではありません。実際の業務で使うときは、元の資料で内容を確かめることが前提です。
公開資料をもとにする仕事は、お客様の情報を扱わずに始められます。AIを仕事で試してみたい方にとって、取り組みやすい題材だと感じています。
形式の違う複数の資料を、確認しやすい台帳にまとめる
2つ目は、管理台帳づくりです。車両に関する複数の資料(車検証、メーカーの諸元表や図面など)から必要な情報を読み取り、スプレッドシートやExcelの台帳にまとめてもらいました。
資料ごとに書式が違い、同じ項目でも書いてある場所や書き方がばらばらです。1件ずつ見比べて書き写すのは手間がかかるうえ、見落としも起きやすい作業です。
このときAIには、次のようにお願いしました。
- 資料に書かれていない項目は、推測で埋めずに空欄にする
- 資料によって値が違うときは、どちらかに決めずに違いを残す
- 自信がない箇所には印を付ける
台帳づくりでは、分からないところを無理に埋めないことがとても大切だと考えています。空欄や印があれば、どこを確認すればよいかがひと目で分かるからです。
あとから追加の資料が手に入ったときは、元の台帳を残したまま、別の版に情報を足してもらいました。どの時点の情報なのかが分かるようにしておくと、あとで見直すときに迷いません。
途中で、もう一度資料と照らし合わせてほしい箇所や、直してほしい箇所を伝えることもあります。ただし、AIが資料を読み取って照らし合わせた結果が、そのまま正しいとは限りません。原本と合っているか、実際にどの値を使うかの最終確認は、人が行うべきことです。
原稿は、資料を足しながらやり取りして仕上げる
3つ目は、原稿の修正です。私は事務所のコラムのほかにも、紹介記事などの原稿を書いたり、校正したりする機会があります。
過去の原稿を渡して、今の原稿に生かす
ある原稿では、まず分量の調整をお願いしました。そのうえで、以前に書いた原稿を渡して、今の原稿に生かせる内容を反映してもらいました。
出てきたのは、長い版と短い版の2つの原稿と、確認が必要な点や写真を入れる位置などをまとめた申し送りのメモです。原稿だけでなく、次に何を確かめればよいかまで一緒にまとまっていると、仕上げの作業がぐっと進めやすくなります。
別の人の校正と重ねて、指摘を整理する
別の紹介記事の校正では、まずAIに校正案を出してもらいました。その後、別の方が校正したファイルを渡して、重なっている指摘を除き、整理し直してもらいました。
見てもらったのは、文章の表現だけではありません。写真と発言者が合っているか、仮に置いた文字が残っていないか、引用が正しいかといった点にも目を向けてもらいました。
確認できなかった数字は書かない
コラムづくりでは、Web上の資料を調べてもらい、WordPressに入れるための原稿と申し送りのメモを作ってもらうこともあります。このとき、公式サイトで確認できなかった数字は本文に書かず、確認が必要な点として分けてもらいました。
こうして振り返ると、「AIが書いた文章をそのまま使う」という形ではありません。資料を足し、分量や表現を指定し、確認することを残しながら仕上げていくという形です。
また、記事のどこにどんな図を入れると伝わりやすいか、ChatGPTに図の案を考えてもらうこともあります。表で説明できているところを重ねて図にするのではなく、文章だけでは伝わりにくい流れや関係を図にする、という考え方で相談しています。
画面を行き来する作業にもAIを使うようになった
冒頭でお話ししたコンピュータユースも、最近は仕事の中で使うようになりました。
事務所の仕事は、ひとつのファイルだけで終わらないことがほとんどです。資料を開き、別の画面で確認し、表に書き込み、また元に戻る。ひとつひとつは小さな作業でも、積み重なると負担になります。こうした作業にもAIを使うようになって、負担が減ったことを私自身も実感しています。
とはいえ、中心にあるのは仕事の中身です。必要な資料を探して整理する、台帳を作る、といった作業の中で、画面を使う部分も手伝ってもらっている、というイメージです。
作ったものの表示や動作を確かめるときにも、AIを使っています。たとえば、事務所サイトの新しいページを下書きで作ったときは、パソコンとスマートフォンの画面幅で表示を確認しました。見積もり用の小さなツールでは、試験用の架空のデータを1件送り、お客様向けの控え、事務所への通知、一覧への記録がそれぞれきちんと届いているかを照らし合わせました。
メールの準備にも使っています。直近のメールや過去のやり取りをもとに、その日に優先する仕事を整理したり、返信の下書きを作ったりします。ただ、電話や対面で決まったことはAIには分かりません。「これは対応済み」「これは返事待ち」と私が状況を伝えて、はじめて計画が実際に合ったものになります。
作って終わりにせず、使いながら直していく
うまくいかなかったこともあります。
先ほどの台帳は、情報を足していくうちに、だんだん使いにくくなってしまいました。項目が増えて、どこを見ればよいのか分かりにくくなったのです。そこで、画面の見せ方や情報のまとめ方を見直すようAIに伝え、今も直している途中です。
この経験で感じたのは、「作れること」と「毎日使いやすいこと」は別だということです。AIは台帳を作るところまでは手早く進めてくれますが、現場でどう使うかは、使う人が伝えないと分かりません。使ってみて「ここが見にくい」「この順番のほうがいい」と伝え、直していく。この繰り返しが大切だと感じています。
同じ説明を毎回するのは大変なので、次も使うルールはファイルに残すようにしています。たとえば、毎月作る報告書をWordでまとめる作業では、前の月と同じ順番や書式を保つこと、不要な記号が残っていないか見ること、ページごとの表示を確かめることなどを指示書にまとめています。事務所の方針や、業務ごとの手順も、ファイルにして残しています。
こうしたファイルがあっても、すべての仕事が自動で回るわけではありません。毎回ゼロから説明する手間を減らすための「引き継ぎメモ」のようなものを作っているイメージです。
人が確認すること、AIに進めてもらうこと
ここまでの例をもとに、今の私の考え方を表にまとめます。
| 仕事の場面 | AIに進めてもらうこと | 人が確認・判断すること |
|---|---|---|
| 資料の整理 | 資料を読み取る、一覧にする、分からない点に印を付ける | 原本と合っているか、どの値を使うか |
| 研修資料づくり | 公開資料を集める、学ぶ順番や用語を整理する | 元の資料と合っているか、実務で使えるか |
| 原稿の修正 | 分量の調整、過去の原稿の反映、指摘の整理 | 伝えたいことが伝わるか、事実や引用が正しいか |
| ページやツール | 下書きを作る、表示や動作を試す | 公開してよいか、使う人にとって分かりやすいか |
表の右側は、人が引き受けるところです。AIの作業が早く進むぶん、何を確かめるべきかをはっきりさせておくことが、前よりも大切になったと感じています。
小さく試すなら、仕事を一つに区切る
これからAIを仕事に取り入れたい方には、いきなり大きな仕事を任せるより、ひとつの作業に区切って試すことをおすすめします。たとえば、次のような作業は始めやすいと思います。
- 公開されている手引きやマニュアルを、自分用の資料集にまとめる
- 複数の資料から、決まった項目を一覧表にまとめる
- 書いた原稿の分量を調整する、表現をそろえる
- 毎月くり返す書類づくりの手順を、指示書にまとめる
頼むときは、次の点を伝えるとうまくいきやすいです。
- 何のための作業か(目的)
- どの資料を使うか
- どんな形で受け取りたいか(完成形)
- 触ってよい範囲と、触ってほしくない範囲
- 分からないところをどう扱ってほしいか
依頼の文は、たとえばこんな形です。
この資料をもとに、確認用の一覧を作ってください。資料に書かれていない内容は推測で埋めず、資料によって書いてあることが違う箇所は「確認事項」として分けてください。あとで元の資料に戻れるように、どの資料を見たかも残してください。
お客様の情報や社内の情報を扱うときは、使うサービスの契約内容や設定、社内のルールを先に確かめておきましょう。まずは公開資料や自分で書いた原稿など、扱いやすいものから始めると安心です。
まとめ
今回は、ごとう行政書士事務所でのAI活用の実践例をご紹介しました。
- 新しいモデルの登場で、AIでできることが大きく広がり、プランも使い方も見直した
- AIを使う場面は、単発の質問から「読む・照らし合わせる・形にする・確かめる・直す」という仕事の流れへ広がってきた
- 公開資料の教材化や台帳づくりでは、元の資料へ戻れる形にし、分からない点を無理に埋めない
- 原稿は、資料を足し、分量や表現を指定し、確認することを残しながら仕上げる
- 画面を行き来する作業にもAIを使うようになり、負担が減った実感がある
- 作って終わりにせず、使いながら直し、次も使うルールを残す
AIに任せられる作業は増えました。それでも、目的と完成形を決め、仕上がりを見て直すのは人の役割です。ここを意識しておくと、AIは小さな事務所でも頼りになる仕事の相棒になってくれると感じています。
まずはひとつ、手元の作業を区切って試してみてください。AIを事務所に取り入れた背景や基本方針は、こちらの記事でまとめています。
AIを事務所へ取り入れた背景と基本方針(2026年6月の記事)
※この記事の内容は、2026年9月時点のものです。

