その遺言で大丈夫?特別受益・寄与分から考える「もめない相続分」の決め方〜後編〜
こんにちは、ごとう行政書士事務所の後藤です。
前編では、生前に特別な援助を受けていた人がいる場合の「特別受益」について解説しました。
今回はその後編として、被相続人の財産形成や維持に貢献した人をどう評価するかというテーマ、すなわち「寄与分」についてお話しします。

長年、親の介護をしてきたのに、他のきょうだいと相続分が同じで納得いかない
そんな声が実際の相続の場面では多く聞かれます。このような不公平感に対応する制度が「寄与分」です。ただし、寄与分を考慮する場合でも、具体的にどう分けるべきかは非常に複雑です。
そこで今回は、
- 寄与分の基本的な仕組みと法的根拠
- 特別受益と寄与分が両方ある場合の「具体的相続分」の考え方
- 2023年の法改正で導入された「請求の期限」について
- 行政書士による実務サポートの内容
を中心に、専門家の視点からわかりやすく解説します。
もめない遺言書を作るための知識として、ぜひ最後までお読みください。
\ 遺言・相続でお困りの方はまずはお気軽にご相談ください。/
1.寄与分とは? ― 「親の面倒をみてきた人」への配慮
相続の現場では、こうした声をよく耳にします。



ずっと親の介護をしてきたのに、他のきょうだいと同じ相続分なんて…



親の事業を手伝って無給で働いたのに、評価されないのは納得いかない
このような不満に対応するため、法律では「寄与分(きよぶん)」という制度を設けています。
寄与分とは、「特別な貢献をした相続人」のための制度
寄与分は、他の相続人と比べて特に被相続人の財産形成や維持に貢献した相続人が、その努力に見合った相続分を受け取れるようにするために調整をする制度です。
対象となる具体例には、次のようなものがあります
- 被相続人の介護や療養看護を長年行っていた
- 親の事業を手伝い、利益を上げるのに貢献した
- 被相続人の借金を肩代わりした、家を修繕してあげた など
これらの行為が「特別な寄与」として認められれば、通常の法定相続分に上乗せされるかたちで、寄与分が加算されます。
計算方法は実務でも難しいテーマです
実際に「どれくらいの寄与分を認めるか」は、さまざまな計算方式で金額換算が必要になることも多く、
- 介護の日数や時間
- かかった費用
- 労力の度合い
- 結果としての財産の増加
などを総合的に判断します。
ただし、これを詳しく説明しようとすると専門的すぎるため、今回は詳しい計算方法までは取り上げません。
このように、寄与分は法的に認められる制度ではありますが、主張するにも証拠や根拠が求められる非常に慎重な領域です。遺言書を作成する際には、「誰がどう貢献したのか」という視点もふまえた内容にしておくと、トラブルを避けやすくなります。
2.具体的相続分とは? ― 特別受益と寄与分があるときの分け方
ここまで見てきた「特別受益」と「寄与分」は、どちらも法定相続分をそのまま当てはめるのでは不公平になるケースに調整を加える制度です。両方が同時に関係する場面も少なくありません。
このような場合には、相続人一人ひとりの事情を反映した「具体的相続分」というものを考えることになります。
モデルケースでシミュレーション
たとえば、次のような事例を考えてみましょう。
- 被相続人:父
- 相続人:配偶者・長男・次男(法定相続分はそれぞれ 1/2・1/4・1/4)
- 相続財産:4,000万円
- 特別受益:次男が生前に住宅取得資金として500万円の援助を受けていた
- 寄与分:長男が長年の介護を担い、300万円相当の寄与があったと仮定
まず、相続財産に特別受益を加えて、計算のベースとなる「みなし相続財産」を出します。
4,000万円(現在の財産)+500万円(特別受益)−300万円(寄与分)=4,200万円
→ これが、具体的相続分を割り振る基準となる みなし相続財産 です。
配偶者:4,200万円 × 1/2 = 2,100万円
長男:4,200万円 × 1/4 = 1,050万円
次男:4,200万円 × 1/4 = 1,050万円
配偶者は、2,100万円
長男は、上記1,050万円に加えて寄与分300万円を受け取る → 1,350万円
次男は、すでに生前に500万円の特別受益を受け取っていたため、1,050万円-500万円 → 550万円
\ 遺言・相続でお困りの方はまずはお気軽にご相談ください。/
3.2023年民法改正で「請求期限」が明確に!
これまでご紹介してきた「特別受益」や「寄与分」は、相続人の間で公平に財産を分けるために必要な制度ですが、
実は最近まで、これらを主張するための期限は明確に定められていませんでした。そのため、



相続が長期化している途中で、寄与分の話が急に出てきた…
といったトラブルなどがあったんです。こうした事態を防ぐために、2023年4月1日に民法が改正され、特別受益・寄与分の主張について、一定の「期限(除斥期間)」が設けられました。
改正のポイント:相続開始から10年で請求できなくなる
民法改正によって、特別受益・寄与分の請求には以下のような期限のルールが明確になりました。
つまり、相続が始まった日から10年を過ぎると、原則としてもう「特別受益」も「寄与分」も主張できなくなるというルールです。
例外的に主張が認められるケースもあります
ただし、次のような場合には「10年を超えていても請求が可能」とされる例外もあります
- 相続人間で合意すれば、10年を経過した後も特別受益や寄与分を考慮した遺産分割は可能
- 家庭裁判所に遺産分割の調停・審判を申し立てている場合
- 相続開始後10年の満了前6か月以内に遺産分割の請求をすることができないやむを得ない事由がある場合であって、その事由が消滅した時から6か月を経過する前に家裁に遺産分割の請求をしたとき
上記の例外はありますが、基本は10年以内が鉄則と覚えておくのが安全です。
4.行政書士が支援できること
ここまでお読みいただいた方は、相続に関する制度が意外に複雑であること、そして「特別受益」や「寄与分」といった制度を適切に扱わなければ、かえって相続トラブルの原因になりかねないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
遺言書を作成する際には、「誰に、どれくらい遺産を渡すか」だけでなく、生前に援助をしていた人や、家族を支えてきた人への配慮も大切です。それらを反映するには、遺言相続に関する知識と制度の理解が欠かせません。
ごとう行政書士事務所は、こうした遺言・相続のご相談をお受けしています。
弊事務所では、こうした遺言・相続のご相談をお受けしています。
- 特別受益がある場合にどう記載するか
- 寄与分のある相続人へどのように配慮するか
- 法的リスクがある文言や表現の回避方法
- 配偶者居住権や持戻し免除の適切な扱い
といった点も踏まえながら、ご本人の意思を的確に反映した遺言書づくりをお手伝いします。
公正証書遺言・自筆証書遺言のサポートもお任せください
また、公正証書遺言・自筆証書遺言どちらの形であってもご支援しております。特に大きな理由がない限り、信頼性・実効性の高い公正証書遺言をお勧めしております。
- 公正証書遺言の原案作成(誤解のない法的表現に整える)
- 公証人との事前調整や日程設定の代行
- 証人2名の手配
- 財産目録の作成や資料の整理
などなど必要な手続きはお任せください。
「遺言を書いておきたいけど、どう書けばいいかわからない」
「家族がもめないように準備したい」
そんなときは、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
家族が笑顔で過ごせるように、計画立てた遺言・相続対策を
今回の後編では、「寄与分」や「具体的相続分」、そして2023年の民法改正によって導入された特別受益・寄与分の「請求期限」について解説しました。
相続の場面では、数字だけでは割り切れない「家族それぞれの事情」や「これまでの関わり方」が存在します。
特に、介護や事業支援などで長年貢献してきた家族や、生前にまとまった援助を受けていた家族がいる場合、法定相続分のままでは不公平が生じることも少なくありません。
そうした場面に対応する制度が「特別受益」や「寄与分」ですが、これらを遺産分割の際に初めて主張する形にするのではなく、あらかじめ遺言書に反映をして、相続人が納得する形にしておくことが、何よりのトラブル予防策になります。
そして、遺言書の内容にこうした配慮を盛り込み、法的にも有効なかたちに整えるためには、専門家の支援が不可欠だと思っています。少しでも悩まれる前に、ぜひごとう行政書士事務所までご相談ください。
\ 遺言・相続でお困りの方はまずはお気軽にご相談ください。/

