こんにちは。福岡市博多区のごとう行政書士事務所、行政書士の後藤遼太です!
以前のコラムでは、2026年(令和8年)に施行される「行政書士法改正」の全体像についてお話ししました。 「行政書士の使命」が明記されたり、デジタル化への対応が職責となったりと、私たち行政書士にとって身の引き締まる内容でした。

さて、今回はその改正内容の中でも、自動車販売店様、コンサルティング会社様、登録支援機関様など、行政書士「以外」の事業者様に大きく関わるポイントについて深掘りしたいと思います。
それは、第19条(業務の制限)の規定の厳格化についてです。
「うちは行政書士事務所じゃないから関係ない」と思いきや、実は今回の改正で、これまで慣習的に行っていた業務が、法的にグレー、あるいはブラックと判断されるリスクが改めて明確化されました。
この記事では、他業界の皆様が「意図せず違法状態にならないため」に知っておくべきポイントと、「なぜ国がそこまで規制を強めるのか(=お客様を守るため)」という理由について、詳しく解説していきたいと思います。

「いかなる名目」でも報酬を得てはいけない?
行政書士法には、行政書士ではない人が、報酬を得て官公署への提出書類を作成することを禁じる規定(第19条)があります。今回の改正で、この条文に重要な文言が追加されました。
【改正前】第19条(業務の制限)
【改正後】第19条(業務の制限)
※改正前「1条の2」が、改正後は「1条の3」となります。
これまでは、「書類作成費用」としてはお金をもらわず、「登録代行費用」「事務手数料」「コンサルティング料」といった名目で費用を受け取り、サービスの一環として書類作成を行うケースがありました。
しかし、今回の改正によって、「名目が何であれ、実質的に書類作成の対価を含んでいるならNG」という解釈がより厳格に適用されることになります。
影響が大きいと思われる業界・業務
この改正により、これまでの商習慣やビジネスモデルの見直しが必要になる可能性がある業界があります。決して「今までが悪だった」と責めるわけではなく、「これからはリスクが高まる」という視点でご覧ください。
自動車業界(ディーラー・中古車販売)
これまで: 販売店様が、車の購入者様から「登録代行費用」や「車庫証明代行費用」をいただき、自社のスタッフ(無資格)が警察署への車庫証明申請や陸運局での登録手続き書類(申請書・委任状等)を作成する。
これから: これを「反復継続して」「報酬(代行費)を得て」行うことは、法改正により、より明確に禁止されるリスクがあります。
特に、OSS(ワンストップサービス)申請が進む中で、システムへの入力代行なども「書類作成」と同様とみなされる流れにあります。自社名義の車両登録(自社登録)であれば問題ありませんが、「お客様名義の登録書類を有償で作成・申請すること」は、行政書士へ外注(再委託)するか、お客様ご自身で行っていただく必要性がより高まります。
補助金・創業支援コンサルティング業界
これまで: コンサルフィーの中で、事業計画書の作成から申請入力の代行まで丸ごと引き受ける。(これまでのも正直このラインはグレーなところが多くありました。)
これから: 事業計画の「内容のアドバイス・策定支援」はOKですが、「申請書の作成・入力代行」まで踏み込むと、法改正の趣旨に抵触する恐れがあります。
登録支援機関・日本語学校・外国人材紹介など
これまで: 紹介手数料やサポート費用の名目で、入管へのビザ申請書類作成を代行または「清書」する。
これから: 無資格での作成支援はより厳しく見られることになります。
なぜ今、規制が強化されたのか?
なぜ国はここを厳格化したのでしょうか? 「行政書士の仕事を増やすため」と思われる方もいるかもしれませんが、それは本質ではありません。最大の、そして唯一無二の理由は「依頼者(国民・事業者)をトラブルから守るため」に他なりません。無資格者による書類作成が横行すると、最終的に泣きを見るのは「お金を払ったお客様」だからです。
「責任の所在」が曖昧だと、お客様が路頭に迷う
もし、行政書士が業務でミスをしてお客様に損害を与えた場合、行政書士は損害賠償責任を負うだけでなく、行政書士会からの処分を受けます。多くの行政書士は「賠償責任保険」に加入しており、お客様に対する万が一の救済措置も講じています。(もちろん当事務所も加入しています)
しかし、無資格者が作成してミスをした場合どうなるでしょうか? 「あくまでアドバイスでした」「作成は自己責任です」と逃げられてしまえば、許可が降りずに事業がストップしたお客様は、誰にも責任を問えず、補償も受けられないという事態に陥ります。 法改正は、こうした「無責任な代行」を許さないための防波堤なのです。
コンプライアンス無視の「不正申請」リスク
専門知識や職業倫理を持たない業者が作成する場合、とにかく「通ればいい」という考えから、事実と異なる内容での申請(虚偽申請)など、コンプライアンス無視の申請が行われる温床になりがちです。
不正が発覚した際、許可取り消し処分を受けるのは誰でしょうか? 作成した業者ではありません。申請人である「お客様自身」です。 一度不正で取り消されると、その後5年間は許可が取れなくなるなど、企業の存続に関わる致命的なダメージを負うケースも少なくありません。
専門職には「守秘義務」と「懲戒」という担保がある
行政書士には、法律で厳しい「守秘義務」(法第12条)が課せられています。違反すれば刑罰の対象です。また、品位を欠く行為があれば、国(知事)からの「懲戒処分」により、業務停止や業務禁止が行われます。 この「資格を失うかもしれない」という重みが、日々の業務の適正さを担保しています。
一方で、無資格の代行業者は、この法律の縛りがありません。法的な安全装置が外れている状態とも言えます。
「誰が作っても同じ申請書類」ではありません。その紙一枚に、どれだけ法的な裏付けがあるか。 今回の改正は、そこを明確にし、お客様を危険な業者から遠ざけるためのものだといえます。
事業者がとり得る「2つの対応策」
では、これまで関連業務を行ってきた事業者様は、どう対応すべきでしょうか?
お客様を守り、自社も守るために、以下の2つの方向性があり得ると思います。
業務範囲の明確な切り分け
「書類作成・申請」からは手を引き、本来の強みである「販売」「コンサルティング」「事業支援」に特化する方法です。 自動車販売店様であれば、車両販売と整備に集中し、登録業務は切り離す形です。例えば、契約書等での明示を行うことで 「本契約には行政に提出する書類の作成等は含まれません」と明記し、リスクを遮断することも考えられます。
行政書士との業務提携(アライアンス)
これが最もコンプライアンス上。 販売やコンサルティングは貴社が担当し、最後の「行政に提出する書類作成」は提携する行政書士にバトンタッチする形です。メリットとしては「うちは法令遵守を徹底しています」という姿勢が、お客様からの信頼につながる点や、面倒な書類作成や役所回りから解放され、本業の営業活動に集中できる点があげられます。
「棲み分け」と「連携」が顧客を守る
今回の改正は、決して「他業界の排除」を目的とした敵対的なものではないと、私は捉えています。むしろ、「お客様を、適法かつ安全にゴールへ導くためのチーム作り」のきっかけになるはずです。
- 自動車販売店様・コンサルタント・登録支援機関様等: 良い商品、良い事業戦略を提供するプロ
- 行政書士: 許認可や行政手続、行政に提出する書類作成のプロ
この両者が、それぞれの専門領域で力を発揮し、タッグを組むこと。それこそが、依頼者様にとって「最高品質のサービス」となり、「最も安全な事業発展」につながると確信しています。
行政書士後藤もし、「自社の現在のサービス内容(特に登録費用や手数料の内訳など)が法改正に抵触しないか心配」「顧客のためにワンストップで対応したいが、どう連携すればいいかわからない」という事業者様がいらっしゃれば、ぜひ一度お話ししましょう。ぜひ、「補い合う」パートナーとして、一番良い形を一緒に考えたいと思っています。
ごとう行政書士事務所では、運送業・建設業などの許認可申請はもちろん、自動車販売店様や登録支援機関様との業務提携も積極的に行っております。
「うちは大丈夫かな?」といった行政手続きに関するコンプライアンスのご相談や、「書類作成の部分をお任せしたい」といった連携のご依頼まで、柔軟に対応いたします。 改正法の施行でお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください!
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