Vol.4 【建設業許可の要件③】資金証明と営業所の実態等。自宅兼事務所でも許可は取れる?

うちは小さい会社だけど、手元に500万円も置いておかないといけないの?

自宅の一室を事務所にするのは、許可が降りるの?

これらは、実際に建築業許可を検討し始めた事業者さんの中でも、最初に疑問に思う点だと思います。
前回のコラムでは、技術的な責任者である「営業所技術者」について詳しく解説しました。許可取得に向けた「ヒト」の要件が揃ったら、次は「カネ」と「モノ」、そして「誠実性」というそれぞれの要件を確認する必要があります。

建設業許可における用語に言い換えると、「財産的基礎」と「適切な営業所」、そして見落とせない「誠実性・欠格要件」の基準について、根拠となるルールを整理してお伝えします。

目次

財産的基礎:請負契約を履行できる「おカネ」の証明

建設業は、お金の面で一般的な小売業やサービス業とは異なる性質があるため、建設業許可を受けるには、申請者が「誠実であること(誠実性)」が不可欠な要件となります 。

  • 着工から完成まで、非常に長い期間を要する
  • 前払金や中間金など、完成前にお金のやり取りが頻繁にかつ複数回発生する
  • 金額が非常に高額になりやすい

発注者は「まだ形がないもの」に対して事前にお金を払い、長期間待つことになります。もし業者に裏切られれば、その被害は甚大なものになりかねません。

建設業許可を受けるには、そのため、請負契約を履行するに足りる財産的基礎、または金銭的信用を有していなければなりません。一般建設業の許可を申請する場合、以下のいずれかの要件を満たす必要があります

一般建設業の財産要件(いずれか1つ)

自己資本の額が500万円以上であること
法人の場合は「貸借対照表の純資産合計」、個人の場合は「期首資本金や事業主利益などの合計額」で判断されます。

500万円以上の資金調達能力があること
自己資本が500万円に満たない場合でも、銀行が発行する「500万円以上の預金残高証明書」や「融資証明書」があれば要件をクリアできます。

建設業法第7条(許可の基準)
第7条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
(省略)
4項 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。
※括弧内省略

注意点!
預金残高証明書を使用する場合、有効期限は発行から1ヶ月以内と非常に短いため、申請のタイミングに合わせて準備する必要があります。行政書士に許可の依頼をする際は、その担当の行政書士からの依頼があるまで取得を控えておく方が、スムーズに申請が進むと思いますよ。

※特定建設業の許可を受ける場合は、欠損の額が資本金の20%を超えないこと、資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上、流動比率75%以上など、より厳格な財務基準が求められます

適切な営業所:実態のある「ハコ」の確保

建設業許可における「営業所」とは、本店や支店、または常時建設工事の請負契約を締結する事務所を指します。単なる事務連絡所や工事現場の作業員詰め所は、営業所として認められません。

福岡県の審査では、営業所の実態を証明するために写真の提出が求められます。昔は現地調査が行われることがメインでしたが、コロナ禍を経て運用が変わってきています。その分、写真の提出について非常に細かく指摘をされることがあるため、注意が必要です。

営業所として認められるためのポイント

独立性の確保

他の法人や個人の生活スペースから明確に区別されている必要があります。自宅兼事務所の場合、玄関から居住部分を通らずに事務所へ入れるか、固定式のパーテーション等で仕切られていることが条件となります。

設備が整っていること

机、椅子、固定電話、PC、什器備品、各種事務台帳の保管スペースなどが備わっている必要があります。

使用権原があること

自己所有であれば登記事項証明書、賃貸であれば賃貸借契約書の写しが必要です。賃貸の場合、使用目的が「住居」となっているときは、大家さんからの「使用承諾書」が別途必要になるケースもあります。

「自宅兼事務所」については、かなり厳しいチェックが入ります。「地域によっては、自宅兼事務所のマンションアパートについて基本的には許可が通らない」という専門家もいるほどです。動線・間仕切り・事務所表示・郵便受け・生活用品などがないかなどをそれぞれ写真や間取りからチェックされます。必ず事前の確認や専門家のサポートがあったほうがいいケースといえます。

誠実性と欠格要件:健全な経営者であること

最後に、経営者や役員が「不誠実な者でないこと」も重要な要件です。前述のとおり、建設業者への発注者は「形がないもの」に対して事前にお金を払い、長期間待つことになります。もし業者に裏切られれば、その被害は甚大なものになりかねません。

そのため、過去に詐欺や横領といった「不正な行為」や、正当な理由なく契約を破るような「不誠実な行為」をしたおそれがある者には、建設業許可は下されないルールになっているのです。

誠実性(不正・不誠実な行為をしないこと)

請負契約に関して、法律に違反する行為(詐欺、脅迫、文書偽造など)や、契約違反(工期遅延や瑕疵の放置など)をするおそれがないことが求められます。

欠格要件(該当すると許可が受けられない事項)

申請者や法人の役員、政令で定める使用人(支店長など)が、以下のいずれかに該当する場合は、許可を受けることができません。

  • 許可申請書に虚偽の記載がある場合
  • 破産者で復権を得ていない場合
  • 禁錮以上の刑に処せられ、執行が終わってから5年を経過していない場合
  • 建設業法や暴力団員等による不当な行為の防止等に関する法律に違反し、罰金刑を受けてから5年を経過していない場合
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない場合

建設業法第8条
国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。
(欠格要件がそれぞれ記載されていますが、とても長いため省略します)

許可取得のためには、それぞれの要件を正確にチェックしましょう

建設業許可の要件である「ヒト(経管・営業所技術者)」「カネ(財産的基礎)」「誠実性」は、単に満たしているだけでなく、これらを客観的な裏付け資料で厳格に証明できて初めて許可へとつながります。

しかし、実際の申請実務では以下のような状況に直面し、頭を悩ませる事業者様が少なくありません。

  • 「どの書類が証明に使えるのか、自分たちで判断するのは大きな負担だ」
  • 「日々の現場が忙しく、要件の厳格なセルフチェックまで手が回らない」
  • 「元請から期限を提示されており、許可が必要なタイミングまで時間が限られている」

福岡県知事許可の場合、書類を提出してから受理されるまでの準備期間に加え、標準的な審査期間だけでも約2ヶ月を要します。「準備不足で工期を逃してしまった」といった事態を避けるためにも、少しでも不安を感じる方は、ぜひお気軽に当事務所へご相談ください。行政書士として要件をスピーディーに整理し、貴社の円滑な事業拡大を全力でサポートいたします。

次回のコラムは、許可取得に関するコラム(基礎編)の最終回。許可申請に「必要な書類と写真」のリスト、そして「申請先や手数料」などの具体的な手続きの流れについてお伝えします!

\ 建設業許可の取得をめざす際はご相談ください! /

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