Vol.3 【建設業許可の要件②】営業所技術者(旧・専技)とは?資格や実務経験の条件を解説

うちは技術の資格を持っている人がいないけど許可は取れる?

建設業許可を取りたいけれど、自分は要件を満たしているのかな?

前回のコラムでは、経営の責任者である「経営業務の管理責任者(経管)」について詳しくお話ししました。次にクリアすべき要件が、営業所ごとに配置しなければならない「営業所技術者」です。

以前は「専任技術者(専技/せんぎ)」と呼ばれていましたが、現在は法令上の正式名称が「営業所技術者」に統一されています。このポストに就く人がいなければ、どれだけ経管の要件を満たしていも、許可を取得することはできません。今回は、その具体的な要件と証明方法について解説します。

目次

「営業所技術者」の役割と「専任」の意味

営業所技術者とは、その営業所に常駐して、建設工事の請負契約の締結やその履行を技術的な面から管理する人のことです。ここで最も重要なのが「専任(常勤)」であること。 「名前だけ貸す」「現場に出っぱなしで事務所に全くいない」という状態は認められません。具体的には以下の条件を満たす必要があります。

  • 継続的な雇用関係:その会社と直接的な雇用関係にあること
  • 常時勤務:休日を除き、通常の勤務時間はその営業所に勤務していること
  • 通勤の可能性:住所が営業所から著しく遠く、通勤不可能な人は認められません
  • 他社との兼務不可:他の法人の代表取締役や、他の営業所の技術者、または宅建業の専任媒介者など、他の法令で専任を要する職務との兼務は、原則として同じ場所・同じ会社でない限り認められません

常勤性を証明する資料は何がある?

主に以下の書類で「本当にこの会社でフルタイムで働いているか」を確認します。

  • 健康保険被保険者証(マイナ保険証または資格確認証)
  • 標準報酬決定通知書

建設業許可では、重要な担当者(経管や営業所技術者)が、その会社に常駐して働いていること(=常勤性)の証明が不可欠です。これまでは、勤務先の会社名が明記された「健康保険証のコピー」を提示するだけで、この実態を証明できていました。(令和7年11月まで)
しかし、令和7年12月の健康保険証廃止に伴い、「マイナンバーカード(マイナ保険証)」などへの移行が進みました。ここで実務上大きな問題となるのが、マイナ保険証の券面には「勤務先の会社名」が記載されていないという点です。そのため、今後の申請においては、マイナ保険証の提示だけでは常勤性の証明として不十分となります。今後は保険証1枚で済んでいた証明の代わりに、会社への在籍を裏付けるための「標準報酬決定通知書」が別途必要になります。

営業所技術者になるための「3つのルート」

① 国家資格ルート(最もスムーズな方法です)

指定された国家資格(1級・2級建築施工管理技士、建築士など)を持っていれば、それだけで要件をクリアできます。

② 学歴 + 実務経験ルート

指定の学科(土木工学、建築学など)を卒業し、かつ一定期間の実務経験がある場合です。

  • 大学・高専卒業 + 実務経験 3年以上
  • 高校卒業 + 実務経験 5年以上

どんな科・学部を卒業したのか?どんな単位を取ったのか?が重要となります。疎明資料として「卒業証明書」「単位取得証明書」が必要となり、事前に県庁等に該当するか否かを確認するのをおすすめします。

③ 実務経験のみルート(10年の経験)

資格や指定学科の学歴がなくても、その業種に関して10年以上の実務経験があれば認められます。ただし、この「10年」を証明するために、10年分の注文書や契約書、当時の常勤性がわかる資料(年金記録など)をすべて揃える必要があり、難易度は非常に高くなります。

業種別・営業所技術者になれる主な国家資格一覧(一般建設業)

建設業許可を受ける29の業種ごとに、認められる資格は厳格に決まっています。 以下の表は、福岡県で一般建設業の許可を申請する際に、「その資格があればOK」な主な国家資格を網羅したものです。

・2級資格については、合格時期や種別によって別途数年の実務経験が必要な場合があります。
・「登録基幹技能者」も多くの業種で認められますが、ここでは代表的な国家資格を優先して記載しています

許可を受けたい業種許可を受けたい業種
土木一式工事1級・2級土木施工管理技士(土木)、1級・2級建設機械施工管理技士、技術士(建設・総合技術監理など)
建築一式工事1級・2級建築施工管理技士(建築)、1級・2級建築士
大工工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ・躯体)、1級・2級建築士、木造建築士、技能検定(建築大工・型枠施工)
左官工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定(左官)
とび・土工工事1級・2級土木施工管理技士(土木・薬液注入)、1級・2級建築施工管理技士(躯体)、1級・2級建設機械施工管理技士、技能検定(とび・型枠施工・コンクリート圧送・ウェルポイント施工)、地すべり防止工事士
石工事1級・2級土木施工管理技士(土木)、1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定(ブロック建築・石材施工・石積み・石工)
屋根工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、1級・2級建築士、技能検定(建築板金・かわらぶき・スレート施工)
電気工事1級・2級電気工事施工管理技士、第1種・第2種電気工事士、電気主任技術者、技術士(電気電子・建設など)
管工事1級・2級管工事施工管理技士、技術士(機械・上下水道・衛生工学など)、技能検定(建築板金・冷凍空気調和機器施工・配管)、給水装置工事主任技術者
タイル・れんが・ブロック工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ・躯体)、1級・2級建築士、技能検定(タイル張り・築炉・ブロック建築・れんが積み・コンクリート積みブロック施工)
鋼構造物工事1級・2級土木施工管理技士(土木)、1級・2級建築施工管理技士(躯体)、1級・2級建築士、技術士(建設「鋼構造及びコンクリート」)、技能検定(鉄工・製罐)
鉄筋工事1級・2級建築施工管理技士(躯体)、技能検定(鉄筋施工・鉄筋組立て)
舗装工事1級・2級土木施工管理技士(土木)、1級・2級建設機械施工管理技士、技術士(建設・総合技術監理)
しゅんせつ工事1級・2級土木施工管理技士(土木)、技術士(建設・水産・総合技術監理)
板金工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定(工場板金・建築板金・板金工・打出し板金)
ガラス工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定(ガラス施工)
塗装工事1級・2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)、1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定(塗装・木工塗装・建築塗装・金属塗装・噴霧塗装・路面標示施工)
防水工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定(防水施工)
内装仕上工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、1級・2級建築士、技能検定(畳製作・内装仕上げ施工・表装・カーテン施工・天井仕上げ施工・床仕上げ施工・表具)
機械器具設置工事技術士(機械・総合技術監理)
熱絶縁工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定(熱絶縁施工)
電気通信工事1級・2級電気通信工事施工管理技士、技術士(電気電子・総合技術監理)、電気通信主任技術者
造園工事1級・2級造園施工管理技士、技術士(建設・森林・総合技術監理)、技能検定(造園)
さく井工事技術士(上下水道・総合技術監理)、技能検定(さく井)、地すべり防止工事士
建具工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定(建具製作・カーテンウォール施工・サッシ施工・木工)
水道施設工事1級・2級土木施工管理技士(土木)、技術士(上下水道・衛生工学・総合技術監理)
消防施設工事甲種・乙種消防設備士
清掃施設工事技術士(衛生工学・総合技術監理)
解体工事1級・2級土木施工管理技士(土木)、1級・2級建築施工管理技士(建築・躯体)、技能検定(とび)、解体工事施工技士

表を見てお気づきの通り、1つの資格で複数の業種をカバーできるものがあります。 たとえば、「1級土木施工管理技士」は9業種の技術者になることができます。このように、どの資格を持っているかによって、取得できる許可の幅が大きく変わります。もし「この資格でこの業種は取れるかな?」と迷われたら、ぜひ弊所へお問い合わせください。

【一人二役OK】経管と営業所技術者は兼任できます
「経営業務の管理責任者(経管)」と、「営業所技術者(旧:専任技術者)」は、同一人物が兼ねることが可能です。もしお一人で両方の要件(資格や実務経験)を満たしているなら、その方が一人二役を担う形で申請できます。ただし、重要なルールが一つあります。それは、「同一の営業所内でしか兼任できない」という点です。どちらのポストも営業所に「常勤」していることが絶対条件です 。そのため、「本社で経管をやりながら、別の支店で営業所技術者になる」といった、勤務場所が分かれる兼務は認められませんのでご注意ください。

注意!実務経験の「重複」は認められません

「うちは外構もやるし、舗装もやる。10年やってきたから両方の技術者になれるよね?」と思われるかもしれませんが、ここに落とし穴があります。実務経験で複数の業種の技術者になろうとする場合、経験期間を重複させることはできません。 たとえば、「土木」で10年、「舗装」で10年の実務経験を証明したい場合、合計で20年分の実績資料が必要になります(1人で2つの業種を同時に経験したとはカウントされません)。

営業所技術者の配置は「常勤の実態」と「資格or経験」が重要

営業所技術者は、許可を受けようとする営業所に「常勤」して、技術的な判断を行う重要なポストです。

国家資格があれば手続きは非常にスムーズですが、資格がない場合でも10年以上の実務経験があれば道は拓けます。ただし、その場合は「10年分の注文書や契約書」といった膨大な裏付け資料を揃えなければならず、ここが許可取得の大きな分かれ道となります。

自分の持っている資格が、どの業種に使えるのか知りたい

10年の実務経験を証明したいが、古い書類が揃うか不安だ

そんな時は、お一人で悩まずにぜひ弊所へご相談ください。お客様がこれまで積み上げてきた経験などを棚卸しして、現在の状況から最短で許可に繋がるルートを一緒に考えさせていただきます。

次回のコラムでは、許可要件の「おカネ」と「ハコ」の話。もう一つの大事な要件である「財産的基礎(500万円の要件)」と「適切な営業所」の基準について詳しくお話しします。

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