こんにちは。福岡市博多区のごとう行政書士事務所、行政書士の後藤遼太です!
2026年1月1日から、行政書士法が大きく改正されます。「行政書士法の一部を改正する法律案」が、第217回国会に提出され、衆議院本会議(2025年5月30日)・参議院本会議(同年6月6日)にそれぞれ可決し、成立しました。
今回の改正は、行政書士という専門職の「社会的役割」や「責任のあり方」そのものを問い直す重要な内容を含んでいると考えています。
※(2025年12月28日更新)行政書士法改正の影響に関する記事を追加で作成しています。こちらも併せて読んでいただけますと幸いです!

改正のポイントは5つ!
次のような項目が大きく変更されます。
- 行政書士の「使命」の明文化
- 「職責」の新設(デジタル社会への対応も含む)
- 特定行政書士の業務範囲拡大
- 業務の制限規定の趣旨の明確化
- 行政書士法人などに対する両罰規定の整備
なぜ今、行政書士法が見直されるのか?
背景には、以下のような社会変化があります。
- 行政手続のデジタル化(電子申請やマイナポータルの普及)
- 特定行政書士制度の利便性の低さへの指摘
- 無資格業者等による「代行トラブル」の増加
- 行政書士法人の増加に伴うコンプライアンス体制の整備ニーズ
これらを踏まえて、より信頼される制度へと進化させるための法改正が進められました。
行政書士の「使命」が法に明記される
今回の法改正で、行政書士法の第1条が見直され、これまでの「目的」から「使命」という文言に置き換えられます。これは単なる言い換えではなく、行政書士の専門性と社会的責任をあらためて位置づける、大きな意味を持つ変更です。
【改正前】第1条(目的)
【改正後】第1条(行政書士の使命)
他士業と並ぶ「使命規定」
「使命」を第1条に掲げるのは、実は弁護士法・税理士法・司法書士法などでも採用されています。今回の変更により、行政書士も制度的に同じ形式をとったことになります。これにより、次のような効果が期待されます。
- 行政書士の制度的な信用性の向上
- 行政書士の社会的な意義の明示
- 国民にとっての安心感や信頼感の強化
これまでも行政書士は、官公署への申請や届出、契約書作成などを通じて、一般の方々や中小企業の支援を担ってきました。しかし一方で、制度や資格への認知度がまだまだ十分とは言えず、近年では「専門家としての役割をより明確にすべき」という声が高まっていたように感じます。使命の明文化によって、以下のような状況改善が期待されているのではないでしょうか。
- 資格制度の理解不足や誤解の解消
- 職業倫理や行動指針の強化
- 行政書士自身が使命感と誇りを持って活動できる環境づくり
この条文変更は、「行政手続の専門家」である行政書士が、社会にとってどれほど必要な存在かを再確認させるメッセージだと思っています。今後は、制度の根拠としてだけでなく、依頼者や社会に対する「宣言」としての使命を、私たち一人ひとりが胸に刻んでいくことが求められるのではないでしょうか。
「職責」の新設とデジタル対応
今回の改正では、新たに「第1条の2 職責」が追加され、行政書士が守るべき基本姿勢や、デジタル時代に求められる役割が明文化されました。(デジタル社会への対応については、努力義務として記載されています。)
法令・実務への精通と「品位の保持」
ここでは、次のような実務姿勢が求められているのだと思います。
- 不正確な申請や、軽率な対応の防止
- 守秘義務や報酬の適正化など、基本的な職業倫理の実践
- 業界全体の信頼維持と、不祥事の未然防止
確かに、過去の行政書士によるトラブル事例(処分事例)としては下記のようなものがありました。
- 書類だけ預かって報酬だけ請求して音信不通
- 無資格者と提携して実質的に丸投げ(名義貸し)
- 職務上請求書を悪用した事例
こうした行為はこれまでも許されるものではありませんが、より厳しい目が向けられ、業界全体がより健全化に向かうように、日行連・行政書士会・行政書士個人が律していく姿勢を表しているのだと思います。
デジタル対応が求められる理由
現在、行政手続は急速にデジタル化が進んでいます。当事務所が主に行っている特車申請もオンライン申請が行われていますし、補助金申請などもオンライン申請が前提となっているものも多くあります。
主な変化の例
- マイナポータルとの連携
- 電子申請やオンライン審査の拡大
- 電子契約書の普及
- 行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進
これらの変化に対応することは、もはや「できると便利」ではなく、「できないと不便になる」時代とも言えるのではないでしょうか。非効率な事務手続きが問題視されていた日本において、今はデジタル庁主導のもと様々なものがデジタル化しています。
そんなデジタル庁において掲げられているのが「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」という指針。
「誰一人取り残されない」というのは、たとえデジタルデバイスに強くない、デジタル手続が苦手だという方であっても、このデジタル化において「できないと不便」という気持ちを与えないということだと思います。
その一手を担うのが行政書士である、という一つの声明であると私は感じています。
後藤「職責」の新設によって、行政書士はこれまで以上に、専門性・倫理性・そしてデジタル対応力が求められるようになっていると思いました。そして何より、依頼者が「困っている」その瞬間に寄り添える専門家であることが大切です。それが、これからの行政書士に求められる真の「職責」だと私は感じました。


ごとう行政書士事務所の後藤遼太は、デジタル庁・デジタル化推進委員に任命いただいております。少しでもこのデジタル社会におけるご支援ができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
特定行政書士の業務範囲拡大
今回の行政書士法改正の中でも、実務的にインパクトが大きいのが「特定行政書士の代理権限の拡大」です。これまで非常に限定的とされていた不服申立て代理の範囲が、大きく広がる方向で見直されます。
これまでの制度の限界
現行法では、特定行政書士が不服申立て手続の代理を行えるのは「自らが作成した申請書類」に限られていました。
つまり、「本人申請で不許可になったケース」などには関与できなかったのです。
【改正前】第1条の3
【改正後】第1条の4
改正法では、「作成した」から「作成することができる」への文言変更により、次のような業務が新たに認められます。
拡大される業務範囲
- 行政書士が関与していない申請でも、不服申立ての代理が可能に
- 他者が作成した申請書に基づく処分に対しても対応できる
- 申請〜不服申立てまでのワンストップ対応が可能になる
たとえば、こんな場面で役立ちます
- 自力申請をしたが、不許可になった申請についての審査請求
- 不当・違法な不作為(審査されないまま放置されている)に対する審査請求
これらは従来、弁護士などしか対応できないと思われていた場面でしたが、今後は特定行政書士が「実際の支援者」として名乗りを上げられるようになります。
業務の制限規定の趣旨の明確化
正直、行政への提出書類を、無資格で作成している業者は少なくありません。ご依頼者さんにとっても「あれって違法だったの??」と気づいていないケースもあるのではないでしょうか。
今回の法改正では、無資格者が行政書士の業務「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成する」ことを「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て行うこと」を明確に禁じる表現に変更されました。
【改正前】第19条(業務の制限)
【改正後】第19条(業務の制限)
※改正前「1条の2」が、改正後は「1条の3」となります。
どんなケースが想定されるのか?
行政書士として実務をしていると(実は私が行政書士になる前からも)、次のような「無資格業務」を耳にすることがよくありました。
- 補助金申請において、関連書類含めて丸投げで対応しているコンサル会社
- SNS等で「ビザ申請書類作成します!」と謳う個人やブローカー
- 顧問契約に「申請書類作成」が含まれている士業以外の事業者
- コンサルのサービスの中に、こっそりと官公庁へ提出する書類作成など入れている業者
これらのケースなどがあげられます。
「行政に提出する書類・関連書類についてコンサル業者などが無償で作成し、別途コンサル費用や顧問費用・月会費などの名目で費用をいただく…というケースについても、明確に禁止していく」というのが明文化された、と解説するとご理解いただけるのではないでしょうか。
依頼者にとって重大なトラブルに発展するリスクもありますので、それをしっかりと防止するためにも今回の改正は重要だと思っています。
また、行政手続のプロフェッショナルである行政書士が、社会から信頼されるためには、正規の資格と法的根拠に基づく業務執行が不可欠です。
今回の改正により、業界のみならず関連業界・企業全体が健全化し、依頼者も「誰に依頼すべきか」を安心して判断できるようになることを願っています。
両罰規定の整備・強化
行政書士法の改正では、行政書士法人やその代表者等に対しても罰則が適用される「両罰規定」が強化されました。これにより、業務上の違反行為があった際に、行為者だけでなく法人も責任が問われる仕組みがさらに整備されます。
どのような違反行為が対象になるのか?
改正後の条文では、以下のような行為が両罰規定の対象となります。
- 業務の制限違反
- 名称の使用制限違反
- 帳簿の備付義務違反
- 調査記録簿の不備
- 立入検査への非協力
両罰規定の整備は、単なる罰則強化という意味合いだけでなく、法人化・組織化が進む行政書士業界において重要な転換になるのではないでしょうか。コンプライアンスと倫理の土台を強く築くことが、依頼者の安心と制度の信頼に直結する、そのことを、あらためて肝に銘じるべき改正だと感じています。
行政書士として、そして支援者として
ここまで、行政書士法改正の5つの主なポイントについて解説してきました。
- 「使命」の明記で、行政書士の社会的責任がさらに明示されたこと
- 「職責」の新設により、専門性・倫理・デジタル対応の重要性が再確認されたこと
- 特定行政書士の代理権限が広がり、より実効性ある制度となったこと
- 無資格者による「違法な書類作成代行」への業務制限の趣旨が明確化されたこと
- 「両罰規定」により、組織的な責任体制が求められるようになったこと
これらはすべて、行政書士が本当の意味で「支える専門職」になるための制度的な後押しだと私は感じています。
私自身、行政書士は「ただ書類を作る人」で終わってはいけないと常に心に留めています。
社会にいる誰かの「困った」「わからない」に対して、制度と人とをつなぐ橋渡し役であるべきなのだと。
そしてこの法改正は、まさに「行政書士がその本領を発揮できる環境をつくる」ことを目的としたものなのではないでしょうか。
参考書籍(恐らくこれから改訂がされますが…)
これまで行政書士法の理解については、下記の書籍を参考にしてきました。今回の改正内容については、衆議院・参議院で公開されている情報、日行連のHPなどを参考にしています。行政書士法の制度理解においてはとても役立つ本ですので、参考までに紹介いたします。今回の改正をふまえ改訂があると思いますので、改訂後のご購入をおすすめします。笑
『詳解 行政書士法[第5次改訂版]』(地方自治制度研究会 編)
実務をふまえた解説が充実しており、行政書士の制度全体を体系的に学びたい方に適した書籍です。
▶︎ Amazonで見る
『行政書士法コンメンタール 新14版』(兼子仁 著)
行政書士法の逐条解説として定評のある一冊です。個人的な感想としては、初学者の人には少し読みづらいので、参考書籍としてご案内します。
▶︎ Amazonで見る
行政書士への許認可・補助金・遺言相続のご相談はごとう行政書士事務所へ!
行政書士法の改正は、私たち行政書士自身のあり方を見直すチャンスでもあります。
制度を正しく理解し、自らの使命と責任をしっかりと受け止めながら、これからも多くの方々の「安心」と「納得」に寄り添える存在でありたいと思いながら、日々の業務に取り組んでまいります。
ご相談があれば、どうぞお気軽にごとう行政書士事務所までお問い合わせください。
\ お気軽にご相談ください!!/

