遺言書でもめる人・もめない人の違いとは?具体的なケースを参考に学びましょう

遺言書でもめる人・もめない人の違いとは?具体的なケースを参考に学びましょう

こんにちは。ごとう行政書士事務所の後藤です。

遺言書を書いておけば安心だと思っていたのに…

お話をさせていただく中で、このように考えていらっしゃる方は非常に多いなと感じています。
実は、形式に不備があったり、表現や内容に配慮がなかったりすることで、かえって相続トラブルを引き起こケースが後を絶ちません。

特に、自筆証書遺言は手軽に作れる反面、専門家のチェックを受けずに独力で書くことで法的効力に欠ける記述や誤解を招く内容になりがちです。

本コラムでは、自筆証書遺言によくある失敗の実例をもとに、
どうすればもめない遺言が書けるのか
何に気をつけて内容を構成すればよいのか」
といったポイントを、法律的視点と遺言相続の実務的アドバイスの両面からお伝えしていきます。
今回の内容は初歩的な内容を中心としていますので、これから遺言書の作成を検討しているという方にもぴったりです!

\ 遺言・相続でお困りの方はまずはお気軽にご相談ください。/

目次

「長男にすべて相続させる」がもめた理由とは?

【事例】長男に全財産を相続させる旨の自筆証書遺言が原因で兄弟間の対立が発生

あるご家庭で、父親が「全財産を長男に相続させる」と記載した自筆証書遺言を残しました。しかし、他の兄弟姉妹はこの内容に納得できず、遺言の有効性や父親の意思について争いが生じました。

【問題点】遺留分の侵害と遺言内容の不明確さ

遺言書で特定の相続人に全財産を相続させる場合、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。遺留分とは、法定相続人が最低限受け取ることができる財産の割合であり、これを侵害すると他の相続人から遺留分侵害額請求がなされることがあります。

また、「全財産を相続させる」という表現は、簡便に遺言書を作成するにあたってもちろん大丈夫な表現ではあります。しかし、財産の項目が多数ある場合や、他の相続人との関係に不安がある場合においては曖昧であり、具体的な財産の記載がない場合、相続手続きが複雑化し、トラブルの原因となります。

【解説】遺留分の理解と明確な遺言内容の重要性

遺留分に関する規定は、民法第1042条以降に定められています。

民法1042条(遺留分の帰属及びその割合)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

この条文では、遺留分の取り分が次のように定められています。

  • 相続人が配偶者や子である場合:その人の法定相続分の1/2が遺留分
  • 相続人が父母・祖父母等(直系尊属)のみの場合:法定相続分の1/3が遺留分
  • 相続人が兄弟姉妹のみの場合:遺留分なし(今回の場合、遺言通りでOK)

例えば、被相続人の配偶者は既に亡くなっており、子どもが2人いるケースを考えます。通常の法定相続では1人あたり50%ずつ受け取る場合、本来の取り分の1/2が遺留分となるため、最低でも25%ずつは遺留分としてもらえる権利がある、ということになります。

このように、遺言書を作成する際には、遺留分を考慮し、具体的な財産の分配方法を明確に記載することが重要です。

  • 「誰に」「何を」「どう渡すか」を明確に記載する
  • 配慮したい人だけでなく、配慮しなかった人に対しても付言事項などで説明を補う
  • 法的な制限(遺留分)を知っておくことで、争いになりにくい遺言書を作成できる

「自宅を長女に」では足りなかった〜表記が中途半端だったケース〜

【事例】「自宅を長女に」と記された遺言が混乱を招いた

父親が自筆証書遺言で「自宅を長女に相続させる」と記していたものの、父親名義の不動産は複数ありました。家族が住んでいた建物があるのでそれが「自宅」と思い相続手続きを進めようとしましたが、この遺言書にはそれ以上の記載がないため、登記手続きがスムーズに進みませんでした。

【問題点】財産の特定が不明確だった

「自宅」「土地」「預金」など、日常的に使う言葉だけで記載された遺言書は、どの財産を指しているかが法的に判断しづらいという問題があります。特に不動産については、登記簿上の地番や家屋番号が特定されていないと、名義変更や登記手続きが進められないこともあります。

もしも一人の特定の相続人にすべての不動産を相続させたいときは、
「私は、私の所有する「すべての不動産」を○○に相続させる。」という表記でOKです!

付言が逆効果に?「ありがとう」のつもりが火種に

【事例】感謝の気持ちが、他の相続人の怒りを買う結果に

自筆証書遺言にて、「長男には長年私の世話をしてくれた感謝を込めて、すべての財産を相続させる」といった付言(自由記載のメッセージ)が記載されていました。長男はその遺言に誇りを持った一方で、他の兄弟姉妹は「父は自分たちを軽視していたのか」「不公平ではないか」と激しく反発し、感情的な対立が深まる結果となってしまいました。

【問題点】言葉の選び方が誤解と不満を招いた

遺言に付言事項を記載すること自体は非常に有意義なことだと思います。しかし、特定の相続人だけを持ち上げたり、他の相続人に触れずに終えてしまうと、かえって「不公平な評価だ」と受け取られることがあります。

今回のケースは少し極端ですが、もしも遺産の配分が公平であっても、言葉一つで遺族間の感情に火をつけてしまうことは、意外とよくあるようです。

また、民法上、付言事項に関する明確な条文はありません。付言とは、法的拘束力のない「思いのメッセージ」「背景説明」ですが、実務上は遺言全体の受け取り方や相続人の心情に大きな影響を与えます。

特定の相続人にだけ感謝や評価を伝えると、他の相続人が疎外されたと感じることがあります。
そのため、付言を記載する場合は次のような工夫があるといいでしょう。
・不公平感を避けるために、配慮を感じさせる一文を最後に加える
・まず全ての家族への感謝やねぎらいの言葉から始める
・特定の相続人に言及する場合も、評価だけでなく具体的な理由を丁寧に添える

遺言書の付言は、自由に書くことができるようで非常にセンシティブな難しいものです。本文のみならず付言についても、専門家の意見を聞きながら作成するのをおすすめしています。

専門家のアドバイスや、公正証書遺言で防げたトラブルも多い

今回のコラムでは、「もめてしまった遺言書」に共通する3つの事例を取り上げました。

  • 「長男にすべてを」と書いたことで遺留分争いに
  • 「自宅を」と書いたが不動産の特定が曖昧で混乱
  • 「ありがとう」のつもりが家族内の感情的対立を招いた

これらは事前に確かな知識をもとに遺言書を作成しなかったため起きたトラブルです。また、法的には有効であっても、表現の仕方や記載の曖昧さ、感情的な配慮の不足が原因で、「かえって家族が争う結果になる」という事態も決して珍しくありません。

専門家のサポートの入った自筆証書遺言/公正証書遺言なら、こうしたリスクを防げる

「専門家のサポートの入った自筆証書遺言」や「公正証書遺言」であれば、幾分かこうしたリスクを防げます。また、私の意見としては、自筆証書遺言よりも公正証書遺言の方が安心して作成できると思っています。

  • 公証人が関与して作成されるため、形式の不備がない
  • 作成内容に不明点があれば、その場で助言を受けられる
  • 原本が公証役場に保管され、紛失や改ざんの心配がない
  • 家庭裁判所での検認が不要で、すぐに相続手続きに入れる

また、高齢者や病気の方には、公証人が出張して遺言作成に対応する制度も用意されています。

今回あげた三つのケースのうち、遺留分侵害のケースについては遺言書作成者が望むのであれば、公正証書遺言でもそのまま作成されるケースがあります。遺留分侵害についてはあくまでも、相続人が「遺留分侵害」を請求しなければ、原則遺言書の内容のまま相続が行われます。

行政書士による支援で、安心できる遺言書づくりを

当事務所では、以下のようなかたちで自筆証書遺言・公正証書遺言の作成をトータルでサポートしています

  • 公正証書遺言の原案作成と文面の確認(公正証書遺言の場合)
  • 公証人との事前打ち合わせ代行(公正証書遺言の場合)
  • 証人の手配・立会い調整(公正証書遺言の場合)
  • 遺言書文案作成の支援
  • 付言の書き方の支援
  • 必要に応じて、提携士業(税理士・司法書士等)との連携

「遺言で思いを伝えたい」「相続で家族に負担をかけたくない」
そのようにお考えの方は、ぜひ一度ごとう行政書士事務所までご相談ください。初回のご相談は無料で承っています。

\ 遺言・相続でお困りの方はまずはお気軽にご相談ください。/

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