特車申請(特殊車両通行許可申請)、社内での属人化が問題に…担当者退職で事業継続の危機に!?
こんにちは!ごとう行政書士事務所の後藤です。
「特車申請(特殊車両通行許可申請)は運行管理者の◯◯さんに任せてるから大丈夫」。そう思っていたら、その担当者が突然の退職。
そうすると、誰も申請のやり方を知らない。経路も、申請の仕方も、その方が全て知っている状態となり、事業の継続が難しくなることだってあります。もちろんそれを切り抜けて対応するのが経営なのですが、非常に大変で心身ともに疲弊することになるでしょう。
特車申請は制度自体が複雑で、国土交通省が提供する「特車支援システム(オンラインのシステム)」も習熟に時間がかかります。このような申請体制の「属人化」は、事業継続上の大きなリスクです。今回は、担当者が抱え込む体制の危うさと、企業として備えておくべき対策についてお話ししていきます。
\ 特車申請を任せることは、リスク分散にもなります/
「あの人しかできない」は、事業の継続性を脅かす
特車申請(特殊車両通行許可申請)の現場でよく見られるのが、「運行管理者などの詳しい人が一人で全部やっている」という状態です。
- 特車支援システムの操作が完全に属人化している
- 過去の申請記録が口頭や紙メモでしか残っていない
このような状況で担当者が急にいなくなった場合、業務の停止は避けられません。もちろんさまざまな対象方法はあると思いますが、その対応だけで経営者やその他の従業員の皆さんは振り回されてしまうはずです。こうした緊急事態が起きることで、「無許可運行などの違法行為に目をつぶってしまった」という話も少なくありません。
こうした事態が起これば、単なる業務の遅れでは済まず、事業全体の信頼や利益にも深刻なダメージが及びます。
属人化が起きやすい理由と、見過ごされがちな盲点
特車申請(特殊車両通行許可申請)の業務が属人化しやすいのには、それなりの理由があります。制度や申請システムの複雑さに加え、社内の業務体制や情報管理の方法にも、属人化を招く要素が潜んでいます。
なぜ特車申請は属人化しやすいのか?
1つ目の理由は、特車支援システムの操作が独特であることです。
画面構成や操作の流れに慣れるにはある程度の経験が必要で、「申請の仕方」を教科書のように一般化しにくいという側面があります。一般販売されているよくあるソフトであれば、ユーザーに選んでもらうために使いやすいソフト、直感的に操作しやすいソフトを開発しますよね。一方で行政が提供するソフトであれば、その仕様に利用者が合わせなければなりません。限られた予算の中、かつ限られたリソースの中で開発しているので、致し方ないかもしれませんが、もう少し使いやすくわかりやすいものだと嬉しいですよね…笑
2つ目は、入力に必要な知識が幅広く専門的であることです。
たとえば、特車申請には詳細な車両情報や通行経路の提出が求められます。そして、申請内容に不備があると許可が下りない可能性があります。車両の寸法、軸重、隣接軸重などは、現場で働かれている皆様であればわかる点も多いと思います。しかし、それをいざ申請用に整理・入力するとなると、行政の求める形式で行わないといけないため、難しく感じる方が多いようです。
3つ目は、社内での情報共有が形式化されていないことです。
申請ルールや過去の申請記録が「この前と同じ内容でいいよ」「去年のデータを見れば分かる」といった口頭ベースで管理されているケースも多く、多くの場合でマニュアル化がされていないため、他の人が代行するのが難しくなっています。
属人化を防ぐための3つの対策
属人化のリスクを防ぐには、「誰でも再現できる状態」をつくること、または「社内の誰もが対応しなくても良い状態」をつくることのどちらかが大切です。
特車申請(特殊車両通行許可申請)という専門性の高い業務であっても、やり方を明文化し、必要な情報を整理しておくことで、トラブル時の対応力や、業務の安定性は大きく変わるはずです。いくつか検討できる方法を考えてみましょう。
1.申請フローと記録のマニュアル化
まずは、業務の流れや必要な情報を手順書やマニュアルのかたちで可視化することが属人的な業務から抜け出す第一歩と言えるでしょう。
- 特車支援システムでの操作手順(どこからシステムを立ち上げ、画面のどこに何を入力するか)
- 車内にある車両ごとの寸法データ(諸元表・外観図)・積載パターンなどの整理
- 通行経路の作成ルールや、過去に差戻しがあった内容の記録
といったように、属人的な経験に頼るのではなく、「誰でも同じ判断ができる仕組み」を作っていくことが、引き継ぎや代行を可能にします。しかし、すべてのケースを網羅するのは難しく、マニュアル作成自体も社員の業務負荷が高まります。マニュアル作成を代行する企業があるほど、大変な業務の一つなんです。
最低限、日ごろから行う業務については「箇条書きでやり方のメモを書き出しておく」程度であればすぐにでも実践できるのではないでしょうか。まずは社内のスタッフに負荷のかからない範囲で始められることから行うのが一番です。
2.複数人体制・知識の共有化
特車申請を一人で抱え込まず、複数人で情報を共有する体制も重要です。
- 申請業務をローテーションで担当する
- 月1回など定期的に業務レビューを行い、進捗やミス事例を共有
- 経路や入力内容を一覧で管理し、誰が見てもわかる状態にしておく
属人化は、「分かる人が一人いるから安心」という安心感から生まれますが、反対に言えば「その人がいなければ業務が止まる」というリスクもはらんでいます。ふだんから、ちょっとした変更や注意点もチーム内で共有する癖をつけることが、属人化を未然に防ぐコツです。
しかしながら、こちらのケースも社内体制・人員に比較的ゆとりのある企業しか対応はできません。多くの運輸業の企業の皆様は人材不足に悩まれていると思います。そんな中「チーム体制で支え合う仕組みづくりは難しい…」という企業様も多いのではないでしょうか。
3.外部専門家との連携体制づくり
社内での対応に限界を感じたときは、行政書士など外部の専門家との連携も選択肢の一つです。
- 特車申請に関する制度改正や最新の審査傾向の把握
- 過去申請の見直しや差戻しへの対応
- 繁忙期や担当者不在時のスポットサポート
行政書士であれば上記のような対応が可能です。もちろんスポットで依頼することもできますし、「自社の申請ルールを理解してくれている外部パートナー」として定期的に相談できる体制を作ることもできますよ。専門的な部分は外部に任せることで、社内の負担を軽減しつつ、制度違反やトラブルのリスクを抑えることができます。
たとえば、「申請内容のミスで審査が差し戻された」「間違いをどう訂正したらいいのか分からず、申請し直すのに数日かかってしまった」といった声は、現場で実際によく聞かれます。
行政書士に依頼すれば、制度に照らした正確な申請はもちろん、通行経路の設定における注意点、未収録路線・交差点への対応方法など、実務でつまずきやすいポイントにも慣れているため、申請に関するあらゆるリスクを抑えることができます。
また、「いつまでに申請すれば間に合うか」「許可が下りるまで何日かかるか」といったスケジュール感の見積もりや調整もサポート可能です。
特車申請(特殊車両通行許可申請)のように、法令と現場の両面にまたがる業務は、制度のプロである行政書士に相談することで、安心感と客観性が得られます。必要なときにすぐに相談できる外部パートナーがいるだけで、社内体制の安定感は格段に増すのではないでしょうか。
採用難・人材不足だからこそ、人に依存しすぎない申請体制をつくるために
特車申請(特殊車両通行許可申請)は、制度も実務も複雑な業務です。だからこそ、「詳しい人が一人で抱えている状態」になりやすく、知らず知らずのうちに業務が属人化してしまうことがあります。
しかし、これまで述べてきた通り、属人化された業務は、担当者がいなくなるだけで回らなくなるというリスクを常に抱えています。これは一つの部署や業務だけの問題にとどまらず、運行全体の遅延や信用の損失、さらには法令違反にまでつながる可能性があります。そのリスクを避けるために、
- 日常業務をマニュアル化し、誰でも再現できる仕組みをつくること
- 社内での情報共有を日頃から行い、複数人でカバーできる体制を整えること
- そして、必要に応じて外部の専門家と連携できる環境を整えておくこと
これらのいずれかの対応が求められます。とりわけ、制度の最新動向や実務上の差戻しリスクに対処しながら、社内業務の安定性も高めたいと考える事業者様にとって、行政書士との連携は心強い選択肢となるはずです。
「今はなんとか回っているけど、もしもの時が不安だ」そんなお悩みをお持ちであれば、今のうちから体制の見直しや行政書士への依頼をご検討いただくのをおすすめしています。
- 特車申請(特殊車両通行許可申請)を任せたい
- 人材不足・採用難に伴い、求人の支援をお願いしたい
上記のようなご相談はぜひ、ごとう行政書士事務所/チカミチ 代表の後藤遼太までお声かけください!
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