【第3回】小規模事業者持続化補助金の重要項目「経営計画」と「補助事業計画」の書き方を解説

持続化補助金における経営計画と補助事業計画の書き方

こんにちは!ごとう行政書士事務所の後藤です。

小規模事業者持続化補助金では、申請時に「経営計画」と「補助事業計画」の2つの計画書を作成・提出する必要があります。それぞれの計画は、目的や視点が異なっており、内容も別個に求められています。

「経営計画」は、貴社が今後どのように経営を進めていくのかという中長期的な視点に立ったものです。一方の「補助事業計画」は、補助金を活用して実施する具体的な取り組み、すなわち“補助事業”についての計画です。

両方とも審査において重要な資料となるため、内容に一貫性を持たせつつ、的確に要点を伝えることが求められます。本記事では、それぞれの計画の位置づけ、構成、作成時の注意点について解説します。

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目次

経営計画とは?

経営計画の役割と目的

経営計画とは、貴社の現在の事業状況や課題を把握した上で、今後の方向性を明確にするための中長期的な計画書です。補助金申請においては、単に「補助事業期間中にどのようなことを行うか」という短期的な内容ではなく、補助事業終了後も含めて、事業全体としてどう発展していくかを見据えた計画であることが求められます。

審査の観点からも、補助事業が貴社の成長戦略の中にしっかり位置づけられているかが見られるため、単発の取り組みではなく、将来を見越した流れの中で補助金をどう活用するかを明示することが大切です。

構成の基本要素

経営計画書の一般的な構成は、以下のような流れとなります。

  • 現在の事業内容
     貴社が取り扱っている商品・サービス、主な顧客層、地域性など、事業の概要を整理します。
  • 経営上の課題
     現状の問題点や経営上の悩みを明文化します。たとえば、「新規顧客の開拓が進まない」「人手不足で対応力が低下している」など、事業を続ける上での障害を整理します。
  • 外部環境の動向
     業界や地域の変化、社会的トレンドなど、事業に影響を与える外的要因を簡潔にまとめます。
  • 経営方針と中長期の目標
     3~5年後を見据えて、事業をどのように発展させたいのか。売上目標やサービス強化、顧客拡大戦略などを含めて整理します。
  • 今後の戦略と取り組み方針
     上記の目標を達成するために、どのような方針や行動をとるのかを記載します。

数字や実績、今後の見込みなどを盛り込み、可能な範囲で客観性を担保することが望ましいとされます。
また、適宜図表を取り入れ、読み手が一目で理解しやすい構成にすることも有効です。

必ずしも上記全ての要素を入れる必要があるわけではありませんが、概ねこれらの要素が重要となります!マーケティング戦略を検討するにあたっての、各種分析フレームワークが活用できます!(SWOT分析、PEST分析など)

補助事業計画とは?

補助金で実施する「販路開拓等の取組内容」

補助事業計画とは、貴社が今回の補助金を活用して取り組む具体的な活動内容を示す計画です。
補助金の対象となるのは、「販路開拓」や「業務効率化」といったテーマに沿った取組であり、この部分が実質的に「補助事業」と呼ばれます。

たとえば、「新たな販促ツールを制作する」「ECサイトを立ち上げる」「展示会に出展する」といった取組が該当します。これらはすべて、事業の成長に資する具体的な施策として補助対象となる可能性があります。

ただし、「業務効率化」だけを目的とする取組は対象外となっており、補助事業計画では、必ず販路開拓の側面を含めることが求められます。その上で、業務効率化が付随的に行われる場合は対象となり得ます。

補助事業計画では、取組の内容とその目的、そして得られる効果までを丁寧に記載することが重要です。

補助事業計画の構成とポイント

補助事業計画書は、おおむね以下のような要素で構成されます。

  • 実施内容
     どのような販路開拓等の取組を、いつ、どこで、どのように行うのかを明記します。
     たとえば「チラシの作成」「Webサイトの構築」「展示会出展」など、具体的な活動内容を記載します。
  • 実施理由
     なぜこの取組が必要なのか。経営課題にどう対応しているのかを説明します。
     経営計画で述べた課題とリンクしていると、説得力が高まります。
  • 期待される効果
     販路開拓につながる見込みや、業務の効率化によって得られる成果を定量・定性の両面から記載します。
     「新規顧客獲得数」「売上の増加見込み」「顧客対応時間の短縮」など、実感できる効果が望ましいです。

記載内容に一貫性があり、かつ補助対象経費との関連性が明確であれば、審査における評価にもつながりやすくなります。

また、補助事業計画でも図表を用いることは有効です。実施スケジュール、販路の広がり方、成果目標の数値変化などを視覚的に整理することで、読み手の理解を助けることができます。

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経営計画と補助事業計画の違い・関係性

それぞれがカバーする範囲の違いについて

「経営計画」と「補助事業計画」は、補助金申請における2つの柱ですが、それぞれがカバーする範囲や視点は異なります。以下は、その違いを整理したものです。

計画名対象期間主な内容視点
経営計画中長期(3~5年)自社の事業全体、経営方針、課題と戦略経営者の視点から全体像を描く
補助事業計画補助事業期間内(採択後~実施完了まで)今回の補助金で実施する取組(販路開拓等)実務レベルでの具体的な活動計画

経営計画は将来に向けた「全体像」、補助事業計画は「その中の一部としての具体的な施策」だと捉えるとわかりやすいでしょう。

経営計画と補助事業計画の一貫性が重要

両者は別々の計画書である一方で、内容に矛盾があってはなりません。補助事業計画で記載する取組は、経営計画の中で示された課題や方向性に沿ったものである必要があります。

たとえば、経営計画で「高齢者層の顧客を開拓したい」と述べているにもかかわらず、補助事業計画で「若年層向けのSNS広告を打つ」といった取組を記載してしまうと、両者の整合性が取れず、審査において不利になる可能性があります。(実際に集客効果も薄くなりますよね。)

逆にいえば、経営上の課題 → 取組の理由 → 具体的な活動内容 → 効果の見込み
という一連の流れに整合性があれば、読み手にとっても理解しやすく、計画としての説得力が高まります。

そのため、計画書を別々に作成するのではなく、全体の構成を俯瞰しながら作業を進めることが望ましいといえるでしょう。

経営計画と補助事業計画の書き方で困ったときは…

いずれの計画においても、読み手が理解しやすい構成を意識し、図表や箇条書きなども活用しながら、伝わる書類を目指すことが求められます。

特に書類作成に不慣れな場合や、内容に不安を感じる場合には、専門家によるアドバイスや添削を活用することも有効です。

次回は、申請にあたって必要な「商工会・商工会議所との連携」や「提出までのスケジュール管理」など、実際の申請手続きに関わる実務的なポイントを取り上げます!

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