【第2回】小規模事業者持続化補助金の対象者・対象事業を解説

小規模事業者持続化補助金の対象者・対象事業を解説

こんにちは!ごとう行政書士事務所の後藤です。

前回からご紹介している小規模事業者持続化補助金ですが、「自社は対象になるのか?」「やりたい取組は認められるのか?」と思われている方もいるのではないでしょうか?

この疑問を放置したまま申請準備を進めてしまうと、本来受け取れるはずだった補助金を逃してしまったり、申請にかけた労力が無駄になってしまう恐れもあります。

本コラムでは、小規模事業者持続化補助金<一般型>における

  • 対象となる事業者
  • 対象となる取組
  • 補助対象となる経費

について、最新ルールを踏まえてわかりやすく整理いたします。申請準備の第一歩として、ぜひ参考になさってください!

目次

対象となる事業者とは?

従業員数による基準

補助金の対象となるのは、次のような小規模事業者です。

業種従業員数の上限
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
製造業・サービス業のうち宿泊業と娯楽業20人以下

ここで注意したいのは、「常時使用する従業員」という定義です。アルバイトやパートタイム従業員も、所定労働時間などによってはカウント対象となります。特にパートタイマーを多く抱える業種では、正確な確認が必要です。また、会社役員や個人事業主と同居の親族従業員などは原則カウントしません

法人・個人事業主の要件

次のような形態で事業を営む事業者が対象となります。

  • 株式会社、合同会社、特例有限会社など法人格を持つ事業者
  • 個人事業主
  • NPO法人(一定条件下)

一方で、以下の事業者は対象外となります。

  • 医療法人、社会福祉法人、宗教法人、学校法人など
  • 医師、歯科医師、助産師等の個人事業主
  • 開業届を提出していても、実際に事業を開始していない者

また、申請時点で事業実態がない場合は、対象外となるため十分ご注意ください。

資本関係・所得制限

さらに、資本構成や所得にも制限があります。

  • 資本金5億円以上の法人に100%保有されている会社は対象外
  • 直近3年間の課税所得平均が15億円を超えている事業者も対象外

自己判断が難しい場合は、確定申告書や法人税申告書をもとに確認することが大切です。

このように、単純に「小規模だから大丈夫」と思い込まず、事前にしっかり対象要件を確認しておくことが大切。このあと、対象となる取組内容、補助対象経費についても詳しく解説していきます。

対象となる取組とは?

補助対象となる取組の基本的な考え方

小規模事業者持続化補助金は、「売上の拡大」または「業務の効率化」に関わる取組を支援する制度です。

ただし、業務の効率化を目的とした取組のみでは対象になりません。販路開拓の取組と併せて実施することが前提となっています。たとえば以下のような目的が想定されます。

  • 新しい顧客層の獲得
  • 商品やサービスの認知向上
  • オンライン対応の強化
  • 業務プロセスの簡略化(販路拡大と関連している場合)

このように、経営全体の方向性の中で、「売上向上につながる取組であること」が重視されます。

一方で、業務上の単なる維持・更新作業は対象にならないケースもあるため、「経営計画との関連性」を意識して構成していくことが重要です。

具体的に認められやすい取組の例

以下は、過去に多く採択されてきた代表的な取組内容です。

  • チラシやパンフレットの制作・印刷
  • 新たなホームページやECサイトの構築(直近の回よりWEB関係は単独での申請ができなくなりました。詳細は別途コラムで解説します!
  • 商品パッケージのリニューアル
  • 展示会や見本市への出展
  • 店舗改装(集客導線の改善や新サービス導入のための改装)
  • 顧客管理や在庫管理のための業務システム導入(他の販路開拓の取り組みと併せるとOKです!)

これらは、いずれも「売上増加」や「業務改善」との因果関係が説明しやすく、補助対象として判断されやすい取組です。

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対象外となる取組や注意点

一方で、以下のような取組は補助対象として認められにくい傾向があります。

  • 店舗の単なる修繕や老朽化対応
  • 業務と無関係な汎用機器(空気清浄機など)の購入
  • 経営計画に一切触れていない内容の支出
  • 取組の結果として売上や顧客への影響が見込めない内容

また、「とりあえず新しい設備を導入したい」「安くなっているので今買いたい」というような理由だけでは補助の根拠としては不十分です。取組が貴社の事業方針とどのように結びついているか、説明できるよう計画書を構成していくことが重要です。

補助対象経費とは?

補助対象となる経費の分類

補助対象となる経費は、補助金事務局が定める区分に沿って整理されています。
代表的なものは以下のとおりです。

  • 機械装置等費(設備導入、業務用機器など)
  • 広報費(チラシ、DM、広告、SNS広告等)
  • ウェブサイト関連費(新規構築・EC機能追加等)
  • 展示会等出展費(小間料・運搬費など)
  • 旅費(展示会参加や営業活動等)
  • 開発費(新商品の試作など)
  • 賃借料(設備のレンタル等)
  • 外注費(委託による作業実施)
  • 技術導入費、専門家謝金・旅費など

なお、ウェブサイト関連費は補助上限の1/4(最大50万円)までという制限があります。この制限は見落としがちなポイントなので、計画策定時・申請時にご注意ください。

対象外となる経費や最新の注意点

今回(第17回公募)から、「資料購入費」が補助対象外となりました。
過去にはマーケティング資料などの購入が認められていたこともありますが、今回からは対象経費の一覧から除外されています。

また、以下のような経費も対象外とされています。

  • 飲食費・懇親会費・接待費等
  • 税金・保険料・振込手数料
  • 貴社の通常業務にかかる日常的な消耗品や通信費
  • 車両購入費(例外的に認められるケースを除く)
  • 他補助金制度と重複する支出内容

補助対象外経費を申請に含めてしまうと、補助金の減額や不採択のリスクがあるため、きちんと事前に確認した上で、そうした内容を含めないようにしましょう。経費の判断に迷う場合は、事前に専門家に確認することをおすすめします。

申請対象者・申請対象経費に迷ったときは…?

補助金の申請を検討する上で、
「自社が対象にあたるかどうか」
「取り組み内容が要件に合っているか」
「申請経費が補助対象となるか」
といった基本的な判断は、非常に重要な要素です。

特に、

  • 制度がリニューアルされたばかりなので、最新版の情報をきちんと参考にすること
  • 経費区分の変更(例:資料購入費の対象外化)があるため気をつけること
  • 「業務効率化」は販路開拓と併せた取組でないと対象にならないこと

といったポイントに注意が必要です。

一見問題がなさそうな取組や経費でも、細かなルールや制度改正によって対象外となる場合があります。
計画を策定し、書類を一通り作成したあとに「これは対象外です」と判定されてしまうと、多くの時間と労力が無駄になりかねません。

申請準備を進める際は、要件の確認を怠らず、不明点があれば早めに相談されることをおすすめします。

次回は、実際の申請時に必要となる「経営計画」「事業計画」について、どのように構成すればよいかをわかりやすく解説していきます。

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